演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

抗PD-1抗体の治療効果に関する悪性黒色腫症例の網羅的遺伝子解析

演題番号 : P61-1

[筆頭演者]
清原 祥夫:1 
[共同演者]
吉川 周佐:1、大塚 正樹:1、秋山 靖人:2、楠原 正俊:3、浦上 研一:4、大島 啓一:5、山口 建:6

1:静岡県立静岡がんセンター・皮膚科、2:静岡県立静岡がんセンター・研究所免疫治療研究部、3:静岡県立静岡がんセンター・研究所地域資源研究部、4:静岡県立静岡がんセンター・研究所診断技術開発研究部、5:静岡県立静岡がんセンター・研究所遺伝子診療研究部、6:静岡県立静岡がんセンター・総長

 

【背景】静岡がんセンターにおける網羅的ながん遺伝子解析(High-tech Omics-based Patient Evaluation :HOPE)研究は、手術患者由来の新鮮な腫瘍組織を用いて全エキソン解析と遺伝子発現解析を施行しており、2015年度まででがん患者の登録数が2,000症例に達している。本研究では、HOPEプロジェクトに登録された悪性黒色腫症例を利用して抗PD-1抗体の治療効果と遺伝子解析データに関して考察した。
【対象と方法】悪性黒色腫13症例の内訳は、平均年齢68歳、男性7例、女性6例、臨床病期はⅠ;1例、Ⅱ;2例、Ⅲ;9例、Ⅳ;1例であった。このうちⅢ;2例、Ⅳ;1例では化学・放射線療法の前治療を受けていた。全13例中5例は、ニボルマブの治療を施行しており、3例が生存中である。その中で長期生存(4年1ヶ月)の1症例を経験している。肺転移巣がPRとなった後、間質性肺炎を発症したがその後、間質性肺炎の改善とともに肺転移巣はCRとなった。新たに生じた新病巣(右肋骨、左大腿筋肉内)は切除している。HOPEの登録症例由来の腫瘍組織は、切除後がんと非がん部に分けられ、DNA microarray (Agilent Technology)を用いた遺伝子発現解析と次世代シークエンサー(Ion Proton, Life Technology)を用いた遺伝子変異解析に利用された。また血液も同時に採取され、germlineの遺伝子変異解析も施行された。
【結果】遺伝子発現解析では、PD-L1の発現を6例に認めており、特にCR症例での発現が高かった。またPD-L1と共に関連してCTLA4などの他の免疫チェックポイント分子の発現も確認された。その他のメラノーマに関する遺伝子発現では、tyrosinaseやMAGEA1などのメラノーマ関連抗原やAKT3, ALK, Survivinなどのがん関連遺伝子の発現の増加が認められた。遺伝子変異解析では、腫瘍あたり平均330 (15-2712)個の腫瘍特異的な遺伝子変異と194 (8-1599)個のアミノ酸置換を伴う非同義変異を認めた。特にCRが得られたニボルマブの著効例由来の転移巣では、最も多数の2712個の遺伝子変異が確認されており、治療効果に貢献するネオアンチゲンの同定が今後の研究課題であると考えられた。
【結論】今後HOPE研究での症例数を増やし、日本人の悪性黒色腫症例における特異的な遺伝子変異や免疫チェックポイント抗体治療の新しいバイオマーカーの同定に活用する。

キーワード

臓器別:皮膚

手法別:ゲノム・遺伝子

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