演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

動作ペースのコントロールで編み物を継続できた肺癌の一症例

演題番号 : P16-7

[筆頭演者]
松田 直人:1 
[共同演者]
熊野 宏治:1、小西 杏奈:1、千原 美紀:1、進藤 篤史:1、前田 耕三郎:2、中川 和也:2、村田 博昭:2

1:パナソニック健康保険組合松下記念病院・リハビリテーション科、2:パナソニック健康保険組合松下記念病院・整形外科

 

はじめに
進行性肺癌患者は呼吸困難を呈しADL低下をきたす事が多い。今回両側癌性胸水貯留にて労作時の呼吸苦を呈した90歳代女性に対し、酸素化と呼吸困難感に着目して動作ペースの配慮を行い、移動と階段昇降動作(階段)の満足度およびQOLが改善した一症例を報告する。

症例
90歳代女性。左下葉肺腺癌StageⅣ(cT3N3M1a)で、病名告知されていた。両側癌性胸水貯留に伴う呼吸苦にて入院した。若い頃は自宅2階で編み機を使用した編み物教室を営み、現在も編み物を中心とした生活を送り、銀行での財産管理も自己管理していた。入院時酸素流量は安静時・労作時ともに1Lを要し、修正MRC息切れスケール(mMRC):5であった。安静時SpO2:96% 1L、呼吸困難感は修正Borgスケール(BS):0、 連続歩行時間2分で100m SpO2:86% 1L、BS:0.5、階段5段SpO2:90% 1L 、BS:0.5、移動の満足度:4/10、階段の満足度:0/10 、QOLはEuroQol 5 Dimension (EQ5D):0.376であった。酸素化と呼吸困難感に解離があり、SpO2:80%台で頻呼吸となってもBS:0.5であった。

経過
入院8日目より作業療法を開始した。介入当初は会話や起居動作でSpO2:90%と酸素化不良を認めた。主治医より在宅生活は困難と説明されたが、財産管理と編み物を強く希望され、HOTを導入して自宅退院する事となった。在宅生活および2階での編み物を目標に、SpO2値の変化を本人と確認しながらペーシングコントロール歩行と階段昇降練習、HOT操作練習を実施した。また、酸素業者と自宅の酸素濃縮器の設置場所を検討した。

結果
mMRC:4、連続歩行時間2分で76m SpO2:90% 1L、BS:0.5となった。銀行への移動は困難なため、車椅子でヘルパーを利用する事とした。階段13段をSpO2:92% 1L、BS:0.5で動作可能となった。移動の満足度:8/10、階段の満足度:8/10、EQ5D:0.707で改善を認めた。

考察
労作時の低酸素血症回避のため活動範囲の縮小を余儀なくされたが、ヘルパーを利用する事で外出が可能となった。動作ペースのコントロールで階段昇降が可能となり、患者の希望である編み物の継続につながった。社会資源も活用しながら患者の希望した活動を継続できた事がQOL改善につながったと考えた。

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:リハビリテーション

前へ戻る