演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

腫瘍随伴症候群による舞踏病様不随意運動を伴った肺癌の1例

演題番号 : P16-6

[筆頭演者]
北村 浩:1,2 
[共同演者]
林 茂一郎:2、河合 桐男:1、岡野 尚弘:1、成毛 大輔:1、小林 敬明:1、長島 文夫:1、古瀬 純司:1

1:杏林大学・医学部付属病院・腫瘍内科、2:立正佼成会附属佼成病院・緩和ケア科

 

【はじめに】腫瘍随伴症候群は様々な癌腫で見られるが、舞踏病様不随意運動を呈するものは極めてまれである。今回、我々は肺がんの腫瘍随伴性舞踏病様不随意運動に対し、ハンチントン舞踏病薬であるテトラベナジンを投与し劇的に改善した症例を経験したので報告する。【症例】92歳女性。平成27年7月頃から呼吸苦を自覚、CTにて肺腫瘍を指摘され臨床的に肺がんと診断。年齢等考慮し精査行わずBest Supportive Careの方針となった。老健施設に入所していたが、診断2ヶ月後より不随意運動が出現・増悪したため同年10月杏林大学神経内科に精査加療目的で入院、CRMP5抗体産生腫瘍による舞踏病様腫瘍随伴症候群と診断された。薬物療法としてバルプロ酸・チアプリド・リスペリドンの三剤併用療法にて全身の不随意運動はやや改善したが、頸部・上下肢の不随意運動、構語障害は残存していた。同年11月に佼成病院緩和ケア科に転院後も不随意運動は全身におよぶ事もあり、リスペリドンを増減して対応したが、構音障害と上肢・頸部の不随意運動は残存していた。その際、家族より神経内科入院時にハンチントン舞踏病用のテトラベナジンが効くかも知れないと言われ、その使用について相談を受けた。本人・家族ともに精神的苦痛を感じ疲弊していたことを考慮し、神経内科主治医、スタッフと検討し、十分なインフォームド・コンセントのもと、テトラベナジンの内服を12.5mg/日から開始した。上肢の不随意運動は消失し、増量していくにつれて頸部の不随意運動も消失、発語が明瞭化したため、家族も普通に会話が出来た」ことを喜んだ。第43病日頃から病状が進行し内服継続困難となり内服中止、第47病日に原病増悪のため永眠された。全投与中にわたって明らかな有害事象は認めなかった。【考察】テトラベナジンはハンチントン舞踏病のみ保険適応のある薬剤であり、当疾患には適応ではない。しかしながら、本人にとっては舞踏様不随意運動の身体のために精神的苦痛を伴い、家族も「思い通りに動かない身体に閉じ込められた」母を救って欲しいという思いがあり、十分に注意の元でテトラベナジンを使用し、不随意運動の寛解を得た。本症例は、緩和ケア病棟であるからこそ可能であった支持療法であり、かつ家族ケアであったと考える。

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:緩和医療

前へ戻る