演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

気管ステント留置による気道確保後に化学療法導入に至った縦隔原発胚細胞腫瘍の1例

演題番号 : P16-5

[筆頭演者]
能澤 一樹:1,2 
[共同演者]
杉山 圭司:3、村上 靖:2、今村 恭子:1、副田 雄也:4、小暮 啓人:1,2、北川 智余恵:1,2、沖 昌英:2、坂 英雄:1,2

1:独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター・臨床腫瘍科、2:独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター・呼吸器科、3:愛知県がんセンター中央病院・薬物療法部、4:独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター・泌尿器科

 

【経過】症例は50歳,男性.2015年10月より呼吸困難が出現しCTにて中縦隔腫瘤,右鎖骨上窩リンパ節腫大を認め11月に当院を紹介受診した.縦隔病変に対して超音波内視鏡下経食道的針生検(EUS-FNA)を施行し悪性腫瘍の診断を得たが,免疫組織化学染色では上皮系マーカー,間葉系マーカーのいずれもが陰性であり,組織型の特定には至らなかった.腫瘍が急速に増大したため縦隔病変に対して放射線治療を開始したが,気道狭窄と呼吸困難が更に増悪したため,一旦,人工呼吸器管理とした.放射線療法は計26Gy(13Fr)で無効中止となった.全身麻酔下に直ステント留置を施行し, 人工呼吸器を離脱した.その後,右鎖骨上窩リンパ節を生検し胎児性がんと診断した.精巣に病変は認めず,血液検査所見ではLDHの上昇(311 IU/L)を認めたが,血清HCG及びAFPの上昇は認めなかった.以上より,縦隔原発胚細胞腫瘍(非セミノーマ)と診断し,ステント留置術後,第29病日よりまずはEP療法(エトポシド,シスプラチン)を開始した.ステント留置部口側に肉芽を形成し,気道閉塞をきたしたため気管切開術を施行した.全身状態の回復を確認し,引き続きVIP療法(エトポシド,イホスファミド,シスプラチン)を計3サイクル実施した.有害事象は好中球減少症(Grade4),血小板減少症(Grade4),発熱性好中球減少症(Grade3)を認めたが支持療法で対処可能であった.化学療法の減量や治療の順延はなく,RDIは100%であった.部分奏功を確認し,ステントを抜去し,気管切開口は閉鎖した.気管切開後,経管栄養を実施していたが,嚥下リハビリテーションを経て経口摂取を再開し,化学療法開始時点でのPerformance Status(ECOG)は3であったが,治療完遂時には,1まで回復した.現在は,外来で経過観察中である.【考察】急速な腫瘍増大のため,気道狭窄を生じたが,気管ステントによる気道確保と,再生検によって確定診断を得て化学療法導入に至った1例である.縦隔腫瘍には胚細胞腫瘍や悪性リンパ腫など化学療法感受性が高い癌腫が含まれているが,本症例のように腫瘍の増大によって気道確保が困難になる症例がある.気管ステント留置は縦隔腫瘍に伴う気道狭窄に対して有用であり,ステント留置後であっても強度の高い化学療法を施行可能であることが示唆された.

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:集学的治療

前へ戻る