演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

頭頸部重粒子線治療時の口腔粘膜表面線量モデルによる急性期口腔粘膜炎の推移

演題番号 : P1-9

[筆頭演者]
武者 篤:1,2 
[共同演者]
島田 博文:1、白井 克幸:1、齋藤 淳一:1、阿部 孝憲:1、小林 大二郎:1、横尾 聡:2、近松 一朗:3、大野 達也:1、中野 隆史:1

1:群馬大学・重粒子線医学研究センター・医学生物学部門、2:群馬大学・大学院医学系研究科・顎口腔科学分野、3:群馬大学・大学院医学系研究科・耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野

 

【目的】
重粒子線治療は従来のX線治療に比べ線量集中性に優れ,正常組織に広範囲の有害反応が生じにくいが,口腔領域に近接する頭頸部腫瘍では口腔粘膜炎が発症する.本研究では,口腔粘膜表面線量モデルを作成し線量および口腔粘膜炎の推移を検討した.
【方法】
2011年から2012年にかけて群馬大学重粒子線医学センターにて重粒子線治療を施行した頭頸部腫瘍患者39名を対象とした.総線量は57.6,64.0,70.4 Gy(RBE)でそれぞれ5,32,2名であった.口腔粘膜炎の評価部位は口蓋と舌を対象とし,口腔粘膜表面線量モデルとしてMIM maestro ver.6.0.2にて3次元的に口蓋と舌のモデルを作成し,最大線量と実際の口腔粘膜炎の発症部位とを検討した.口腔粘膜炎発症についてはRadiation Therapy Oncology Group (RTOG) grading systemにて評価し,解析した.
【結果】
口腔粘膜炎が発症した部位と口腔粘膜表面線量モデルで示された高線量部位とは一致していた.口蓋では照射5~6日,舌では8~9日目頃よりGrade1の口腔粘膜炎が発症し始め,経時的にGrade2-3の口腔粘膜炎が増加した.照射後は1週間を経過すると,Gradeは漸減し,全ての口腔粘膜炎は治療後1か月経過すると軽快していた.口蓋の粘膜炎Grade 0,1を認めた症例の口蓋粘膜面の最大線量は11.8 ± 12.7 Gy(RBE)であり,Grade 2,3では62.4 ± 3.3 Gy(RBE)であった(p<0.001).舌の粘膜炎Grade 0,1を認めた症例の舌粘膜面の最大線量は31.6 ± 18.8 Gy(RBE)であり,Grade 2,3では58.3 ± 6.5 Gy(RBE)であった(p<0.001).
【結論】
口腔粘膜表面線量モデルの高線量部位とGrade 2,3の口腔粘膜炎は一致していた.口腔粘膜炎は重粒子線治療後にすみやかに改善傾向を示した.我々の開発した口腔粘膜表面線量モデルは,粘膜炎の発症部位と重症度の予測に有用であり,重粒子線治療計画の最適化に役立つと考えられた.また,治療開始前に患者本人や看護師・歯科衛生士に提示することで,発症時期や治癒の経過について大まかに認識しやすく,患者本人のモチベーションの維持や口腔ケアにも応用できる可能性が示唆された.

キーワード

臓器別:頭頸部

手法別:放射線治療

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