演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

口腔扁平上皮癌におけるInterleukin-6とSTAT3の臨床的役割

演題番号 : P1-2

[筆頭演者]
品川 兼一:1 
[共同演者]
柳本 惣市:1、鳴瀬 智史:1、川北 晃子:1、森下 廣太:1、坂本 由紀:1、梅田 正博:1

1:長崎大学・大学院医歯薬学総合研究科・口腔腫瘍治療学分野

 

炎症と癌の関連性に関しては様々な報告があり,近年では炎症反応の指標であるC-reactive protein (CRP)およびNeutrophil-to-Lymphocyte ratio (NLR)と,癌患者の予後との関連性を指摘されている。その分子生物学的メカニズムとして,炎症性サイトカインであるIL-6発現に伴うSTAT3活性化の関与が報告されている。IL-6により活性化されるJAK/STATシグナル伝達系に着目し,口腔扁平上皮癌と炎症因子との関係,予後との関連性について検討した。
2008年4月から2013年3月までの5年間に長崎大学病院口腔外科を受診した口腔扁平上皮癌症例のうち,術前治療例などを除き,手術主体の治療を施行した116例を対象とした。術前の末梢血におけるCRPおよびNLR値を測定した。生検あるいは手術材料として得られた組織を用いてIL-6およびSTAT3の抗体を用いた免疫組織化学的染色を行い,その局在および反応強度について評価し,臨床病理学的因子との関連性について検討した。予後に関しては再発までの期間(DFS)および疾患特異的生存期間(DSS)を比較検討した。
免疫組織化学的染色の結果,IL-6とSAT3の陽性症例率は,それぞれ78.4%と80.2%であった。IL-6発現は,びまん性浸潤,脈管浸潤と病理組織学的リンパ節転移との相関性がみられ,とくに脈管侵襲については多変量解析でも有意な相関性を認めた(P=0.044)。それに対してSTAT3はどの因子とも関連性は明らかではなかった。さらにIL-6とSTAT3発現との相関性はなく,CRPやNLRといった炎症因子との相関性も明らかではなかった。IL-6発現は5年累積DFSに影響を与える因子であったが,DSSでは有意差を認めなかった。
IL-6は口腔扁平上皮癌の浸潤や転移に関連しており,局所頸部再発の予測因子として有用である可能性が示唆された。そのメカニズムとしては,JAK/STATシグナルより脈管侵襲に関連する因子(VEGF-Cなど)を介している可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:口腔

手法別:基礎腫瘍学

前へ戻る