演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

RT-PCRを用いた開腹、腹腔鏡下大腸切除術時における術後腹腔内遊離癌細胞の比較

演題番号 : MS8-4

[筆頭演者]
原 賢康:1 
[共同演者]
安藤 菜奈子:1、柳田 剛:1、佐川 弘之:1、志賀 一慶:1、高橋 広城:1、中西 速夫:2、竹山 廣光:1

1:名古屋市立大学・大学院医学研究科・消化器外科、2:愛知県がんセンター愛知病院・病理診断科

 

目的:大腸癌切除時の腹腔内遊離癌細胞の有無を腹腔内洗浄液中のCEAmRNAの検出することで明らかとし、開腹手術と鏡視下手術時で比較、鏡視下手術時の腹腔内遊離癌細胞について検討した。
方法:2015年1月より当院にて手術施行した大腸切除患者93例。73例に対しては鏡視下手術を、20例に対しては開腹手術を施行した。開腹理由は他臓器浸潤を疑うものが15例で閉塞例が4例、穿孔が1例であった。平均年齢が70.9才(開腹:69.6才、鏡視下:71.2才)男女比 49:44(開腹12:8、鏡視下37:36)であった。深達度はT1:14例(開腹:1例、鏡視下:13例)、T2:10例(開腹:0例、鏡視下:10例)、T3:41例(開腹:8例、鏡視下:33例)、T4:28例(開腹:11例、鏡視下:17例)であった。リンパ節転移はN0:55例(開腹11例、鏡視下:44例)、 N1:17例(開腹:5例、鏡視下:12例)、 N2以上:21例(開腹:4例、鏡視下:17例)であった。これらの症例に対し手術開始直後(開腹では開腹直後、鏡視下ではトロッカー留置後)並びに終了前(閉腹前の腹腔内洗浄時)の洗浄液を100ml回収しCEAmRNAに対してPCRを施行、癌細胞の有無を検出した。
結果:開始直後の洗浄液では14例(開腹3例、鏡視下11例)で陽性であったのに対し終了前の洗浄液では7例でのみ陽性となり、この7例はいずれも鏡視下手術例(7/73例、9.6%)であった。深達度でみるとT3:2例、pT4:5例で、リンパ節転移ではN0:1例、N1:2例でN2:4例であった。また終了前陽性となった7例はいずれも開腹直後のCEAmRNA値よりも終了前mRNA値のほうが高値であった。
考察:今回の検討から鏡視下手術終了時にはおよそ10%程度の症例で腹腔内に癌細胞の遺残の可能性があることが示唆された。いずれの症例もT3、4,或はN2以上などの因子がみられた。CEAmRNA陽性の原因は明らかではないが、手術操作時の癌細胞のimplantationの他に不十分な洗浄操作も挙げられると考えられた。今回の危険因子に関しては先の臨床試験の結果とも合致しており、漿膜外浸潤や高度リンパ節転移症例において鏡視下手術で術後遊離癌細胞の発生を引き起こす可能性があることが示唆された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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