演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

腫瘍浸潤リンパ球および残存腫瘍量の評価による乳癌術前化学療法後の予後予測

演題番号 : MS63-3

[筆頭演者]
柏木 伸一郎:1 
[共同演者]
浅野 有香:1、後藤 航:1、森崎 珠実:1、野田 諭:1、高島 勉:1、小野田 尚佳:1、大澤 政彦:2、平川 弘聖:1、大平 雅一:1

1:大阪市立大学・医学部・腫瘍外科、2:大阪市立大学・医学部・診断病理学

 

【目的】癌に対する宿主の免疫応答のモニタリングは,予後や治療効果を予測する上で重要な役割を担っている.近年,乳癌において腫瘍浸潤リンパ球 (tumor-infiltrating lymphocytes, TILs) の形態学的評価と臨床的関連性を示したエビデンスが多く報告されるようになり注目されている.一方で,術前化学療法 (NAC) の残存腫瘍量 (Residual Cancer Burden, RCB) の評価は予後予測として有用であることが明らかにされている.TILsは免疫活性が高いとされるトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) やHER2陽性乳癌 (HER2BC) などのサブタイプにおいて,治療効果予測マーカーとして有用であると考えられている.またRCBは,TNBCやホルモン受容体陽性乳癌 (HRBC) において,長期の予後予測に有用であることが報告されている.今回われわれはTILsにRCBを組み合わせたRCB-TILsという指標を作成し,乳癌NACにおける臨床的検証をサブタイプ毎に層別化して解析した.
【対象と方法】2007年から2013年にNACを行った177例を対象とした.ER, PgR, HER2, Ki67の発現から免疫組織化学的にintrinsic subtypeを同定した.また,腫瘍周囲間質に浸潤したリンパ球をTILsとして半定量的に評価した.さらにRCBの評価は,"Residual Cancer Burden Calculator" にて算出した.RCBとTILsの評価を組み合わせてRCB-TILsとし,RCB陽性かつ高TILsグループをRCB-TILs陽性と設定し,それ以外の組み合わせをRCB-TILs陰性とした.
【結果】NAC後の無病生存期間において,単変量解析では高TILs症例は,全症例 (p=0.022, HR=0.420), TNBC (p=0.004, HR=0.1.77), HER2BC (p=0.026, HR=0.123) において有意に無病生存期間の延長に寄与していた.しかしながらHRBCでは,予後への関与が示されなかった (p=0.990, HR=0.992). 一方でRCB-TILs陽性であることは,全症例 (p<0.001, HR=0.181), TNBC (p<0.001, HR=0.099), HER2BC (p=0.026, HR=0.123), HRBC (p=0.039, HR=0.258) のすべてのサブタイプにおいて有意に無病生存期間の延長に寄与していた.多変量解析では,RCB-TILs陽性であることは,全症例 (p<0.001, HR=0.048), TNBC (p=0.018, HR=0.041), HER2BC (p=0.036, HR=0.134), HRBC (p=0.002, HR=0.081) のすべてのサブタイプにおいてNAC後の再発における独立因子であった.
【結語】RCB-TILsは,乳癌NAC後の再発を予測する有意な因子であり,TILs単独よりも鋭敏な指標である可能性が示唆された.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:腫瘍免疫

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