演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

HER2陽性乳癌に対するtrastuzumab併用術前化学療法におけるtumor-infiltrating lymphocytes (TILs),CD8+ TILsおよびPDL-1 の効果および予後因子としての有用性

演題番号 : MS63-2

[筆頭演者]
黒住 献:1,2 
[共同演者]
井上 賢一:3、黒住 昌史:4、松本 広志:2、堀口 淳:1

1:群馬大学医学部附属病院 乳腺・内分泌外科、2:埼玉県立がんセンター 乳腺外科、3:埼玉県立がんセンター 乳腺腫瘍内科、4:埼玉県立がんセンター 病理診断科

 

【目的】
近年,乳癌の腫瘍内免疫機能を評価する上でTILsの病理学的検索の有用性が指摘されているが,HER2陽性乳癌におけるTILsの発現の意義に関しては明らかではない.今回,術前trastuzumab併用化学療法を行ったHER2陽性乳癌において TILs,CD8+ TILs およびPDL-1の発現状況を評価し,臨床病理学的因子,病理学的治療効果および予後との関連性について検討を行った.
【対象と方法】
TaxaneとFEC (epirubicin 75mg)にtrastuzumabを同時投与する術前化学療法を行ったHER2陽性乳癌の128例について検討を行った.治療前の癌組織におけるTILs (stromal TILs) の発現状況を評価し,40%以上を高発現とした.また,CD8+ TILsは強拡大の1視野に25個以上存在するものをCD8+ TILs高発現とした. PDL-1は陽性癌細胞が1%以上を陽性とした.これらの腫瘍免疫関連マーカーとER,PgR,Ki67の発現状況および病理学的治療効果との関連性について検討を行った.また,無再発生存率(RFS)との関連性について解析した.
【結果】
病理学的完全奏効(pCR)は64.8%であった.TILs高発現は,ER陰性(p=0.0038),PgR陰性(p=0.037),Ki67高値(30%以上; p=0.031)と有意に相関したが,CD8+ TILsとER,PgR,Ki67は相関しなかった.PDL-1はKi67と有意に相関した(p=0.026).TILs高発現とPDL-1陽性は有意なpCR予測因子であった(TILs: p=0.035,PDL-1: p=0.026)が,CD8+ TILsはpCR予測因子にならなかった.また,pCR群はnon-pCR群に比べて有意に良好なRFSを示したが(p=0.0072),原発巣でのTILsの発現程度,PDL-1の発現状況とRFSに関連性はなかった.一方,CD8+ TILs高発現群は低発現群に比べて有意に良好なRFSを示した(p=0.033).
【まとめ】
術前trastuzumab併用化学療法を行ったHER2陽性乳癌において,原発巣のTILsの発現と癌細胞でのPDL-1の発現は病理学的効果予測因子であった.一方,CD8+ TILs発現は予後予測因子になる可能性が示唆された.

前へ戻る