演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

乳癌内分泌療法における腫瘍浸潤リンパ球 (TILs) の臨床的意義

演題番号 : MS63-1

[筆頭演者]
浅野 有香:1 
[共同演者]
柏木 伸一郎:1、後藤 航:1、田内 幸枝:1、德本 真央:1、森崎 珠実:1、野田 諭:1、高島 勉:1、小野田 尚佳:1、大澤 政彦:2、平川 弘聖:1、大平 雅一:1

1:大阪市立大学・大学院医学研究科・腫瘍外科、2:大阪市立大学・大学院医学研究科・診断病理学

 

【目的】近年,腫瘍組織での免疫環境が免疫療法の効果のみならず,抗癌剤治療などその他の治療の効果や予後に影響を与えるために,癌免疫微小環境の制御の重要性が認識されるようになった.微小環境での癌に対する宿主の免疫応答のモニタリングは,予後や治療効果を予測する上で重要な役割を担っている.そのモニタリング指標とされる腫瘍浸潤リンパ球 (tumor-infiltrating lymphocytes,TILs) は,予後や化学療法感受性との関連は示されているものの,内分泌療法感受性についての報告は未だ少ない.今回われわれは,ホルモン受容体陽性乳癌の内分泌療法におけるTILsの臨床的意義の検証をすすめた.
【対象と方法】ホルモン受容体陽性stage IV乳癌に対してfirst lineとして内分泌療法を施行した40例を対象とした.TILsは,腫瘍周囲間質に浸潤したリンパ球を半定量的に評価した.TILsのCut off値を10%として高TILs群と低TILs群を設定し,さらに50%以上のリンパ球浸潤が認められる症例をlymphocyte predominant breast cancer (LPBC) とした.
【結果】内分泌療法を施行した40例 (LH-RH agonist + tamoxifen 6例, Letrozole 22例, Anastrozole 11例, Exemestane 1例) の治療効果は,complete response (CR) 0例, partial response (PR) 30例, stable disease (SD) 6例 (long SD 4例), progression disease (PD) 4例であった.高TIL群は低TILs群と比較して無増悪生存期間(PFS) (p=0.171, log-rank), 治療成功期間 (TTF) (p=0.054, log-rank), 全生存期間 (OS) (p=0.641, log-rank) において有意な差は認められなかった.しかしながらLPBC症例では,non-LPBC症例と比較して有意にPFS (p=0.005, log-rank) およびTTF (p=0.001, log-rank),OS (p=0.027, log-rank) の延長が認められた.多変量解析でも,奏効症例 (p<0.001, HR=0.048) やLPBC症例 (p=0.001, HR=0.058) は独立して無増悪生存に寄与していた.無増悪生存に関するROC解析を行ったところ,LPBC (AUC: 0.712) はTILs (AUC: 0.635) よりも鋭敏な指標であった.
【結語】ホルモン受容体陽性乳癌に対する内分泌療法においてLPBC症例は予後良好であり,これらの症例は内分泌療法感受性が高い可能性が示唆された.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:臨床試験

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