演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

消化器がん患者に対する免疫栄養療法の有用性の検討

演題番号 : MS62-4

[筆頭演者]
白井 由美子:1 
[共同演者]
奥川 喜永:4,5、菱田 朝陽:6、新谷 実希:1、小川 亜希:2、福迫 朝子:2、岡本 京子:2、小澤 一夫:3、福森 和俊:3、田中 光司:4,5、田中 基幹:4、三木 誓雄:4,5

1:伊賀市立上野総合市民病院・栄養管理課、2:伊賀市立上野総合市民病院・看護部、3:伊賀市立上野総合市民病院・薬剤部、4:伊賀市立上野総合市民病院・腫瘍内科、5:伊賀市立上野総合市民病院・外科、6:名古屋大学・大学院医学系研究科・予防医学

 

【背景】がん悪液質の重症度は体重減少に加え筋肉量等の評価なども加わるため、体重減少だけでなく体組成の変化にも着目した栄養評価が重要視されつつある。また、骨格筋の喪失を伴う悪液質はQOLの低下、がん治療効果を減弱し生存期間短縮をきたすことから、炎症性サイトカイン制御を標的としたEPAを用いた免疫栄養療法が注目されている。
【方法】がん化学療法施行中の消化器がん患者128例を対象とした。〈検討1〉体組成分析結果は毎月毎の測定結果を用い筋肉量の減少が反映される体組成の指標の検討を行った。〈検討2〉化学療法開始時に体重減少、血液検査結果で炎症反応陽性(CRP≧0.5mg/dl)あるいは低栄養(ALB<3.5g/dl)、食事摂取量減少がみられた場合にEPA強化栄養機能性食品などを用いた栄養介入を行い、化学療法施行中のEPA摂取・非摂取における炎症反応、栄養状態の推移、体組成に与える影響を解析した。
【結果】〈結果1〉体組成結果で浮腫値の上昇は骨格筋量低下と有意に相関し、浮腫値カットオフ0.4以上の高値群は浮腫値0.4未満群に比べ生存率が短い傾向を示した。さらにがん腫別の浮腫率では、胃がん患者の浮腫率は大腸がん患者の浮腫率に比べて有意に高く、胃がんは大腸がんに比べ浮腫率の出現が高いことが示された。〈結果2〉EPA栄養療法による炎症・栄養状態の経時的推移と、化学療法に与える影響を検討した。投与開始時から6ケ月までの経過でEPA非投与群では投与開始時、投与3か月、6ケ月でCRP値は有意な上昇を認めたが、投与群では有意な変化は認めなかった。また大腸がん患者の骨格筋量において、非投与群では骨格筋量は投与開始時、投与3か月、6か月と有意に減少していたが、投与群では有意に増加していた。化学療法継続率はEPA投与群で有意に向上した。
【考察・結論】浮腫値増加ががん患者の生存予後の規定因子となる可能性が示され、新たな悪液質の予後指標になる可能性が示唆された。また、化学療法施行中の患者において栄養状態が不良であっても、EPA投与による免疫栄養療法により全身性の炎症反応を抑制させ、骨格筋改善を誘導し、化学療法継続の向上に寄与する可能性が示唆された。がん化学療法中の患者に対しCRP・ALB値などの定期的な栄養評価と、EPA投与を視野に入れた栄養管理を行うことの重要性が示唆された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:支持療法

前へ戻る