演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

大腸癌網羅的遺伝子発現解析による免疫学的な検討

演題番号 : MS62-2

[筆頭演者]
笠原 佑記:1 
[共同演者]
城田 英和:1、井上 正広:1、高橋 信:1、石岡 千加史:1

1:東北大学・加齢医学研究所・臨床腫瘍学

 

【目的】
近年、悪性黒色腫と肺癌の治療に承認された免疫チェックポイント阻害剤(抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体)は生存期間の延長と持続的な治療効果が報告されており、自己の免疫を利用した新しい機序の治療法として脚光をあびている。特にニボルマブは消化器癌を含む様々な癌種への適応拡大が期待されている。しかしながらその奏効率はどの癌腫においても2-3割程度と報告されており、治療効果が期待できる患者群を層別化できるバイオマーカーの開発が急務となっている。
2015年、我々は進行大腸癌の網羅的遺伝子発現解析を行い、4つのサブグループに分類されることを明らかにした。本研究は各サブグループの腫瘍内炎症パターンの解析により免疫学的な特徴を明らかにし、癌免疫療法の新規ターゲットやバイオマーカーを探索することを目的とした。
【方法】
進行・再発大腸癌100例の網羅的遺伝子発現解析結果を用い、クラスター毎にT細胞、マクロファージ等の免疫細胞の発現や炎症反応レベルを検討した。
【結果】
4つのクラスターのうちKRAS変異型を多く含み、EGFR抗体薬の治療効果が乏しい傾向にある2つの群でCD8T細胞の発現レベル、細胞障害性T細胞の活性化レベルが高かった。またPD-L1、PD-L2、抑制性サイトカインの発現レベルも高く過剰な炎症が腫瘍組織にあることが示唆された。この2つの群の中で特に炎症反応が高い群では一次治療の反応性、予後が悪い傾向が認められた。
【結論】
近年我々が報告した網羅的遺伝子発現解析による4つのクラスター分類はそれぞれ異なる免疫学的な特徴を有していた。高度な炎症細胞の浸潤とサイトカインの発現が認められた群は、治療反応性、生命予後に悪い傾向が認められた。これらのクラスター分類は今後免疫チェックポイント阻害剤の有効なバイオマーカーになる可能性が考えられる。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:ゲノム・遺伝子

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