演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

Stage Ⅲ胃癌の術前診断正診率からみたNACの適応

演題番号 : MS51-4

[筆頭演者]
木南 伸一:1 
[共同演者]
藤井 頼孝:1、三浦 聖子:1、藤田 純:1、甲斐田 大資:1、大西 敏雄:1、富田 泰斗:1、藤田 秀人:1、上田 順彦:1、中野 泰治:1、小坂 健夫:1

1:金沢医科大学・一般・消化器外科学

 

【目的】Stage III胃癌の予後改善策としてNeoadjuvant chemotherapy(NAC)に期待が集まっている。しかし胃癌の術前診断能は必ずしも正確ではなく、Stage IIIと診断した症例には一定の割合でStage II以下もしくはStage IV症例が混入する。よってNACの適応をcStage IIIとした場合、患者に過剰もしくは不適切な化学療法を施行する不利益を与える可能性がある。教室症例の検討から、胃癌NACの適応と術前診断の留意点を考察した。【対象】2009/1~2015/12の当科胃癌手術のうち、cStage IIIと診断した症例を抽出し、臨床所見(c)・手術所見(s)・総合所見(f)を比較して診断能を検討した。教室では主に、大型3型・4型・Bulky N2症例を対象に術前化学療法を導入しているが、これらの症例は、治療前臨床所見(c)・化療後術前臨床所見(yc)・手術所見(ys)・総合所見(yf)に分けて評価した。【結果】対象症例は72例で、うち30例に術前化学療法が行われていた。化療なしに手術した42例において、cStage III - s III - f IIIと、臨床・手術・総合所見が一致した症例は20例48%であった。f I-IIをc IIIと過大評価した症例は14例33%で、その原因は、深達度を深読みしT3以浅をT4と判断した症例が9例、N(-)をN(+)と評価した症例が7例であった。一方、f IVをc IIIと過小評価した症例は8例19%であった。内訳は、脾転移1・#17リンパ節転移1・腹膜転移5・CY1 1例であった。術前化学療法症例においては、yf III症例は10例33%で、yf I-II症例が6例20%、yf IV症例は14例47%であった。yf I-II症例の内、1例は臨床効果SD病理効果grade 1aで、SS N1をSE N3と過大評価した症例と考えられたが、他5例の臨床効果はPRでダウンステージしたものと推察された。一方でyf IV 14例中、2例は肝転移が、1例は腹膜転移が出現したものでPD症例と考えられた。残り11例中、#16リンパ節転移が術中病理で判明した3例とCY1の1例は術前診断の限界と思われたが、7例は開腹所見で腹膜転移が見つかった例で、これら症例には治療前の審査腹腔鏡が行われていなかった。【結語】fStage I-IIをcStage IIIと過大評価する原因の多くは深達度の深読みであった。NACの対象を、大型3型・4型胃癌、Bulky N2症例、あるいは2領域以上に広がる進行癌症例と設定すれば、fStage I-IIの混入を減らせると考えられた。しかしこの対象症例は腹膜転移を伴うことが少なくないので、治療前の審査腹腔鏡は必須と考えられた。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:集学的治療

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