演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

がん薬物療法の安全性評価と苦痛度評価の相関

演題番号 : MS44-5

[筆頭演者]
今田 洋司:1 
[共同演者]
佐藤 温:1、高畑 武功:1、斎藤 絢介:1、陳 豫:1

1:弘前大学・医学部・腫瘍内科

 

【緒言】がん患者に対する抗がん剤治療は高頻度に副作用を伴い患者に苦痛をもたらす。副作用に対する安全性評価は、有害事象共通用語基準を用いて世界共通で客観的に評価されている。一方、副作用よる患者の苦痛そのものに対する共通の客観的評価尺度はない。このため、実臨床では、副作用による苦痛を直接評価できず患者の苦痛を安全性評価で代用し評価していることが多い。しかし、苦痛を安全性評価で代用する妥当性は検証されていない。【目的】がん薬物療法を受けている患者を対象に、有害事象判定基準が苦痛度の指標に代用可能であるか検討する。【方法】倫理委員会承認後(倫理委員会承認番号:2015-045)の2015年7月2日から31日までに化学療法を実施した50症例を対象とし全例文書同意を得た。安全性評価は、担当医師が有害事象共通用語基準(CTC-AE(ver.4))で客観的に評価した。苦痛度は、評価した症状を半構造化面接によって調査した。患者の苦痛度評価は、最も辛い苦痛を5、苦痛なしを0とし0~5の数字で患者に表現してもらった。安全性評価と苦痛度評価の相関には、Excel®2013のスピアマン順位相関係数検定で検討した。患者背景として、化学療法前後にQOL-ACDとうつ状態をアンケート形式で調査し同時につらさと支障の寒暖計を用いうつ傾向の有無を調査した。なお、つらさと寒暖計のカットオフ値は4以上にした。【結果】対象患者の主な癌種は、悪性リンパ腫(15例)、大腸癌(10例)、膵臓癌(11例)であった。患者は平均して4種類の苦痛症状を感じていた。主な苦痛の症状は、末梢神経障害、倦怠感、便秘であった。有害事象の95.8%はGrade1、2であったのに対して苦痛度の82%は3以上であった。苦痛とGradeはスピアマンの順位相関係数検定より相関性はないことがわかった(r=0.125)。【考察】がん薬物療法で治療しているほとんどの患者は複数の苦痛を感じていた。苦痛を評価する何らかのアセスメントが必要であると考える。苦痛の多数を占めた症状は、末梢神経障害だったのは有効な治療法がなかったからと考えられる。また、有害事象判定基準と苦痛度の相関性が低かったことから医療従事者が行う有害事象安全性評価は、必ずしも患者自身の苦痛を反映していないことが示唆された。以上より今後はがん薬物療法が行われている患者においては安全性評価に加えて別途患者の苦痛評価を行い把握していくことが求められる。

キーワード

臓器別:その他

手法別:QOL

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