演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

化学療法による末梢神経障害に対するトラマドール/アセトアミノフェン配合錠の有効性

演題番号 : MS44-3

[筆頭演者]
成毛 大輔:1 
[共同演者]
河合 桐男:1、岡野 尚弘:1、小林 敬明:1、長島 文夫:1、古瀬 純司:1

1:杏林大学・医学部・腫瘍内科学

 

【はじめに】がん化学療法による末梢神経障害(CIPN)に対する治療法としてASCOのガイドラインでは唯一Duloxetineが推奨されているが、実臨床において十分な有効性を得ているとは言い難く標準治療が無いのが現状である。トラマドール/アセトアミノフェン配合錠(TA錠)が様々な脊柱管狭窄症などの末梢神経障害性疼痛に対して有効であることが報告されているが、CIPNに対する臨床試験の報告は台湾からの第Ⅱ相試験が1報有るだけである。今回、我々はCIPNに対するTA錠の有効性を検証する前向き試験を行った。さらにトラマドールの代謝酵素であるCYP2D6、トラマドールの感受性に関するOPRM1 A118Gの遺伝子多型を測定し、有効性・毒性との関連を検証したので報告する。【方法】オキサリプラチン、パクリタキセル、ナブパクリタキセルが原因の末梢神経障害でCTCAEv.4.0 grade2以上を対象。TA錠を最初の7日間は1回1錠1日2回朝夕食後を制吐剤とともに内服、8日目から28日目までは1回2錠1日4回へ増量して内服し、治療開始前と治療開始28日後の変化を評価した。主要評価項目はしびれのNRS(全くしびれが無い状態を0、歩けないくらいの最悪のしびれを10とした11段階)の変化量とし、Duloxetine臨床試験の結果から平均値が1.0以上の減少を有効と設定した。遺伝子多型はOPRM1 A118GはリアルタイムPCRで、CYP2D6はxTAG CYP2D6 Kit v3 RUOキットを使用して測定した。【結果】2014年9月から2015年12月の期間で34例が試験に参加。年齢中央値67歳。原因薬剤はオキサリプラチン20例、パクリタキセル2例、ナブパクリタキセル10例、オキサリプラチンとナブパクリタキセルの両薬剤2例であった。主要評価項目のしびれNRS変化量平均値は0.5の減少であり、TA錠の統計学的な有効性を示すことはできなかった(p=0.14, dependent samples t-test)。原因薬剤別のサブグループ解析においても有効性を示すことはできなかった。嘔気やふらつきといった毒性中止は7例であったがSAEは無かった。遺伝子検査は25例で施行され、CYP2D6のSNPは*5、*10および*41がそれぞれ5%、36%、2%に認めたが、毒性中止や有効性とは統計学的に関連が無かった。OPRM1 A118GはA/A:36%、A/G:28%、G/G:36に認めたが有効性との関連は認めなかった。【結論】CYP2D6およびOPRM1 A118Gの遺伝子多型によらずCIPNに対するTA錠は有効でないことが示唆された。

キーワード

臓器別:その他

手法別:支持療法

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