演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

シスプラチン誘発性悪心・嘔吐に対するリスク因子の包括的解析研究

演題番号 : MS44-1

[筆頭演者]
横井 茉里:1 
[共同演者]
辻 大樹:1、鈴木 賢一:2、川崎 洋平:3、中尾 將彦:4、鮎原 秀明:5、小暮 友毅:6、柴田 和彦:7、林 稔展:8、武田 晃司:9、西尾 誠人:10、濱 敏弘:2、伊藤 邦彦:1

1:静岡県立大学・薬学部・臨床薬効解析学分野、2:公益財団法人がん研究会有明病院・薬剤部、3:静岡県立大学・薬学部・医薬品情報解析学分野、4:大阪市立総合医療センター・薬剤部、5:東京医科大学・病院・薬剤部、6:独立行政法人国立病院機構四国がんセンター・薬剤部、7:富山県厚生農業協同組合連合会高岡病院・腫瘍内科、8:独立行政法人国立病院機構九州医療センター・薬剤部、9:大阪市立総合医療センター・腫瘍内科、10:公益財団法人がん研究会有明病院・呼吸器内科

 

背景
化学療法誘発性悪心・嘔吐(Chemotherapy-induced Nausea and Vomiting; CINV )は、患者にとって最も苦痛度の高い有害反応の一つである。予防的制吐療法に対する抵抗性が問題とされており、患者の30%~40%はいまだコントロール不良である。弱年齢、女性の2因子はCINV発現のリスク因子であることが古くから知られており、近年では制吐療法の応答性は、薬物の動態や感受性に関連する遺伝子多型の影響を受ける可能性が示唆されている。

方法
多施設共同ランダム化二重盲検比較試験(TRIPLE)に登録された患者のうち、再同意が得られた156症例を本研究の対象とした。本研究では、シスプラチンベースの化学療法施行予定の固形悪性腫瘍患者における制吐療法の有効性と制吐薬の動態及び感受性に関わる遺伝子多型との関連を明らかにすることを目的とした。本研究のエンドポイントは嘔吐完全抑制(Complete Response; CR)であり、CRを急性期(シスプラチン投与開始から24時間以内; CR0-24)と遅発期(24時間以降120時間以内; CR24-120)に分けて評価した。 CRに影響する遺伝的因子を探索するために多変量ロジスティック回帰を行った。多変量ロジスティック回帰においては、CINV発現の既知のリスク因子である年齢および性別はあらかじめ強制的に代入した中で、全11種類の遺伝子多型で統計学的に有意な影響の有る因子を探索するためにステップワイズ法を用いた。

結果
多変量ロジスティック回帰によりCR0-24において、ERCC1 8092G>T、HT3D 107C>Tの2因子が有意な影響のある因子として抽出された。これらの因子に性別、年齢を加えた多変量ロジスティック解析を行った結果、ERCC1 8092TT (OR: 11.25; 95% CI: 1.74-72.71; P = 0.011)及び、女性(OR: 3.63; 95% CI: 1.14-11.58; P = 0.029) の2因子がCR0-24の独立したリスク因子であることが明らかとなった。一方、CR24-120においては、有意な関連のある遺伝的因子は認められなかった。

結論
本検討によりシスプラチンベースの化学療法施行患者において、ERCC1 8092G>Tが急性期のCINV発現に影響を及ぼすことが示された。Clinical trial information: UMIN 000009335

キーワード

臓器別:その他

手法別:支持療法

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