演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

がん終末期における輸液治療-ガイドラインに基づいた介入の効果

演題番号 : MS43-5

[筆頭演者]
中島 信久:1 

1:東北大学・大学院医学系研究科・緩和医療学分野

 

【目的】がん終末期には,病状の進行とともに経口摂取低下や溢水・脱水に起因する症状が顕著になってくることが多い。そのためこの時期の輸液栄養治療においても,こうした変化に即した内容への変更が必要となる。しかし輸液治療の施行率や内容は関わる医師や施設などにより大きな差がある。そうした中,日本緩和医療学会は2007年に「終末期がん患者に対する輸液治療のガイドライン(以下GL)」を発刊し,2013年に改訂版を発刊した。演者らは2007年版に基づく輸液治療の有用性について検証し報告した(J Palliat Med, 2013)。本研究の目的は,溢水症状を伴う終末期がん患者に対して,改訂版(2013年版)に基づいた輸液治療を行うことが,種々の症状の緩和やQOLの向上に寄与するのかを明らかにすることである。
【方法】最近2年間に緩和ケアを目的として入院した終末期がん患者のうち,経過中に溢水症状を呈した症例は83例であった。このうち,輸液内容が不適切(過剰)と判断した61例を対象とし,GLに基づいた輸液治療を行い,1)溢水症状の変化,2)全般的QOL,3)患者自身による輸液治療の満足度と4)有用性について前向きに評価した(変更前vs変更1週後)。評価に際して,1) MD Anderson Symptom Inventory - Japanese version(MDASI-J),2) EORTC-QLQ C30(item30),3) 満足度尺度(Morita, SCC, 2002),4) 有用性の尺度(Bruera, JCO, 2005)を用いた。統計学的検討にはWilcoxon符号付順位和検定を用い,危険率<5%の場合に有意差ありと判定した。
【結果】1)悪心・嘔吐(n=15),腹痛・腹部膨満感(n=15),むくみ(n=28),呼吸のしづらさ(n=14)は有意に改善した(p=0.002, 0.005, <0.0001, 0.029)。また,2)全般的QOL,3)輸液治療の満足度ならびに4)有用性は有意に改善した(p<0.0001, <0.0001, 0.0003)。
【考察】がん終末期においてGLに基づいた適切な輸液治療を行うことにより,溢水に起因する症状の緩和が可能となり,全般的なQOLは向上した。また患者は輸液内容の変更に満足し有用と評価した。以上より,がん終末期におけるGLに基づいた輸液治療の有用性が示された。

キーワード

臓器別:その他

手法別:緩和医療

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