演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

進行卵巣がんにおける上腹部手術の意義

演題番号 : MS36-5

[筆頭演者]
錦見 恭子:1 
[共同演者]
楯 真一:1、松岡 歩:1、塙 真輔:1、碓井 宏和:1、三橋 暁:1、生水 真紀夫:1

1:千葉大学・医学部附属病院・婦人科

 

【緒言】進行卵巣がん治療におけるdebulking surgery (DS)において、complete/optimal surgeryを達成するには、上腹部手術が必要となる。当科ではPrimary DS(PDS)だけでなく術前化学療法後のinterval DS (IDS)の症例にも上腹部手術をおこない、予後の改善を目指している。進行卵巣がん治療における上腹部手術の意義を検討した。【対象と方法】2007~2014年に当科で初回治療したT3c期卵巣癌(卵管・腹膜癌も含む)100例を対象とした。当科の治療方針は、原則PDSを行う方針であるが、complete surgeryが見込めない症例には、試験開腹術を行い原発巣・組織型・播種部位を確認したのち、化学療法施行後IDSを行う方針としている。術前化学療法中にprogressionした13例を除いた87例にdebulking surgeryを施行した(PDS:28例、IDS:59例)。87例のoptimal rateは98%であった。87例の上腹部手術の頻度、術式、合併症、予後を検討した。【結果】87例中64例 (74%)に上腹部手術を施行した。施行術式は、右横隔膜切除:64例 (74%)、膵尾部合併脾臓摘出:31例 (36%)、左横隔膜切除:17例 (20%)、胃部分切除:3例(3%)、肝右葉切除:1例 (1%)であった。右横隔膜切除は、腹側から背側に向かって腹膜strippingをはじめ、stripping困難となった時点で開胸して全層切除とした。64例全例が全層切除となり、全例に胸腔トロッカーを挿入して、連続一層縫合をおこなった。脾臓摘出では、大網を確実に全摘するため全例に膵尾部合併切除をおこなった。上腹部手術に関連した合併症は、胸水貯留:9例、膵液漏:8例であったが、観血的な処置(穿刺)を必要としたのは2例のみで、他は保存的に改善した。DSを施行した87例の無病生存期間の中央値は28か月で、上腹部手術施行例:中央値に達しておらず, 上腹部手術未施行例:27か月(p=0.29, Log-Rank)であった。全生存期間は中央値に達しておらず、5年生存率は73%で、上腹部手術の有無による有意な差はなかった(p=0.26, Log-Rank)。【結語】進行卵巣癌におけるoptimal surgery達成のために、約7割に上腹部手術が必要であった。上腹部手術による重篤な合併症はなかった。上腹部手術を行うことで、高いoptimal rateを達成でき、良好な予後を得ることができた。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:手術療法

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