演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

10mm超の後腹膜リンパ節転移巣を認めた卵巣癌・腹膜癌・卵管癌の臨床的背景について

演題番号 : MS36-4

[筆頭演者]
井谷 嘉男:1 
[共同演者]
森田 小百合:1、竹田 善紀:1、杉本 ひとみ:1、石橋 理子:1、杉浦 敦:1、平野 仁嗣:1、河 元洋:1、豊田 進司:1、喜多 恒和:1

1:奈良県総合医療センター・産婦人科

 

【緒言】 FIGO2014では卵巣癌・腹膜癌・卵管癌の臨床進行期III期を、骨盤外病変の状態とともに後腹膜リンパ節転移巣最大径10mmを注目し細分類した。しかし後腹膜リンパ節転移巣の最大径が10mmを超えていた症例の場合(Large Lymph node Metastasis; LLM)の臨床的特徴は明らかではない。今回LLMであった症例について後方視的、探索的に調査した。
【対象】2004.1.1から2015.12.31の間、Primary Debulking Surgery(PDS)あるいはInterval Debulking Surgery(IDS)によって後腹膜リンパ節郭清術を施行した卵巣癌・腹膜癌・卵管癌でLLMが確認された9症例。
【方法】1)臨床進行期、2)PDSあるいはIDSで達成された腫瘍切除の完遂度、3)後腹膜リンパ節転移巣の最大径をMTD (mm)、転移リンパ節の最大径をLND(mm)としたときの両者の関連性、4)各臨床進行期におけるリンパ節転移腫瘍サイズ、5)生存率、について検討した。
【結果】年齢の中央値は50歳(41-81歳)。郭清リンパ節数、転移リンパ節数、10mm超の転移巣が確認されたリンパ節数の中央値はそれぞれ50個(28-83),16個(1-37)、4個(1-9)であった。組織型は漿液性癌89%(8/9),類内膜癌11%(1/9)であった。この条件下で上記の項目を評価した。1)進行期はIIIA1(ii)期, IIIC期, IVB期でそれぞれ33.3%(3/9)、44.4%(4/9)、22.2%(2/9)であった。2)手術完遂度は、肉眼的残存病変なし、optimal (≤1cm)、large rest(>1cm)でそれぞれ77.8%(7/9)、11.1%(1/9)、11.1%(1/9)となった。3)摘出したすべての転移リンパ節のうち10mm以上の転移性腫瘍が確認されたリンパ節に限るとLND/MTD比の平均値は1.02(95% CI; 0.99, 1.055)であった。4) MTDの平均値はIIIA1(ii)期, IIIC期, IVB期でそれぞれ9.98mm(95%CI; 7.85,12.1)、4.2mm(95%CI; 4.2,6.08)、10.5mm(95%CI; 5.73,15.4)であり、IIIC期で小さいことが判明した(student t test; p<0.05)。5)9症例のKaplan-Meier法による5年生存率は55.6%で、IIIA1(ii)期とIIIC期以上の2群に分け生存率を比較したが有意差は確認できなかった(p=0.405, Logrank)
【結論】1) 10mm以上の転移巣があるリンパ節はほぼ腫瘍に占拠されていることが確認された。2) 腹腔内に2cm以上の腫瘤を形成するIIIC期は、骨盤外にはリンパ節以外に転移巣を持たないIIIA1(ii)期やIVB期と進展様式が異なる可能性がある。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:病理

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