演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

上皮性卵巣癌においてCD44 variant 6は遠隔転移を予測するバイオマーカーである

演題番号 : MS36-3

[筆頭演者]
本原 剛志:1 
[共同演者]
坂口 勲:1、高石 清美:1、齋藤 文誉:1、田代 浩徳:2、片渕 秀隆:1

1:熊本大学・大学院生命科学研究部・産科婦人科、2:熊本大学・大学院生命科学研究部・母子看護学

 

【目的】上皮性卵巣癌は早期診断が困難であり、既に腹膜播種や遠隔転移を来した進行癌で診断される症例が大部分である。近年、悪性腫瘍の治療抵抗性や転移において癌幹細胞の関与が指摘されている。癌幹細胞マーカーの一つであるCD44はI型膜タンパクであり、ヒアルロン酸をはじめとする細胞外基質に対する接着分子である。CD44には様々なvariant isoform(CD44v)の存在が知られており、その中でCD44v6は卵巣癌における浸潤、転移との関連性が示されてきた。今回われわれは、卵巣癌の遠隔転移におけるCD44v6の役割を明らかにすることを目的として解析を行った。
【方法】 2005年1月から2013年12月までに熊本大学医学部附属病院産科婦人科において、卵巣癌に対して手術療法を施行した患者186名を対象とした。遠隔転移とCD44v6との関連性について解析するために、免疫組織化学染色法による臨床病理学的検討を行った。さらに、CD44v6高発現群および低発現群の両群間における無遠隔転移生存期間について比較検討した。加えて、遠隔転移に関わる様々な臨床病理学的因子について多変量解析を行った。
【結果】卵巣癌原発巣におけるCD44v6の発現は、卵巣癌の診断時における遠隔転移の有無に関して有意な相関がみられた(P<0.05)。また、遠隔転移部位における腫瘍組織では卵巣癌原発巣の腫瘍組織と比較してCD44v6陽性細胞が有意に高い割合で存在していることが示された(P<0.05)。続いて、診断時に遠隔転移を認めなかった臨床進行期I-III期の卵巣癌156例を対象として、無遠隔転移生存期間についてKaplan- Meier法を用いて解析した結果、CD44v6高発現群は低発現群と比較して有意に遠隔転移再発期間の短縮が認められた(P< 0.01)。さらに、多変量解析の結果から、CD44v6発現は遠隔転移再発の独立した危険因子であることが証明された(P<0.01)。
【結語】CD44v6は卵巣癌の遠隔転移を予測するバイオマーカーとして有用であることが示された。遠隔転移を伴う進行卵巣癌の克服のためには、卵巣癌幹細胞として機能するCD44v6陽性細胞を標的とした治療が新たな治療戦略として有望である。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:バイオマーカー

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