演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

リスク低減卵管卵巣切除術を施行した29例の臨床病理学的検討

演題番号 : MS36-2

[筆頭演者]
野村 秀高:1 
[共同演者]
青木 洋一:1、長島 稔:1、的田 眞紀:1、岡本 三四郎:1、金尾 祐之:1、近藤 英司:1、加藤 一喜:1、尾松 公平:1、宇津木 久仁子:1、杉山 裕子:1、高澤 豊:3、新井 正美:2、竹島 信宏:1

1:公益財団法人がん研究会有明病院・婦人科、2:公益財団法人がん研究会有明病院・遺伝子診療部、3:公益財団法人がん研究会研究所・病理部

 

【目的】当院でリスク低減卵管卵巣切除術(RRSO)を施行した遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の摘出検体の病理標本を、臨床的に検討することを目的とした。
【方法】2011年より、院内の倫理委員会の承認を得て、BRCA1/2変異保有者に対するRRSOの実施を開始した。RRSOを施行した29症例に対して、臨床病理学的検討を行った。
【結果】RRSO施行時の年齢中央値は48歳(40-66歳)であり、閉経後の症例が18例(62.0%)、乳癌の既往を有する症例が24例(82.7%)であった。BRCA1変異保有者が21例(72.4%)、BRCA2変異保有者が7例(27.6%)であった。両側付属器摘出術のみを行ったのは1例のみであり、27例に対して同時に子宮全摘術を施行した。1例は過去に子宮全摘、片側付属器摘出術後であった。術後の詳細な病理学的検討において、これまでオカルト癌は見つかっていないが、卵管采に異型上皮をみとめた症例が2例あり、1例は細胞密度が高い部位にp53の過剰発現を認めた。卵管采に異型上皮を認めた2例はいずれも50歳以上であった。子宮内膜に異型増殖症を認めた症例が1例あり、この症例はBRCA2変異保有者でタモキシフェン内服中であった。また、子宮内膜に異型腺管を認めた症例が3例あり、いずれもタモキシフェン内服の無い50歳以上のBRCA1変異保有者であった。重篤な卵巣欠落症状を認めた症例は無かった。術後平均観察期間19.3カ月において腹膜癌の発症は無いが、乳癌を発症した症例をBRCA1変異保有者とBRCA2変異保有者に1例ずつ認めた。
【考察】
HBOC症例において、RRSO施行時に同時に子宮を摘出する必要はないと話しているが、当院で子宮摘出を行った症例において、摘出標本の子宮内膜に異型増殖症や異型腺管を認めた症例があった。子宮内膜の異型腺管や、卵管采の異型上皮、p53の過剰発現に関する病的意義は不明である。しかし、RRSOを考慮する、もしくは同時に子宮摘出を行うか迷っている症例に対し、卵管の異型上皮や子宮内膜の異型腺管が50歳以上の症例で認められているという情報提供を行うことは考慮すべきかもしれない。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:臨床試験

前へ戻る