演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

高リスク上部尿路上皮癌に対する術後補助化学療法の効果及び効果予測因子の検討

演題番号 : MS3-3

[筆頭演者]
藤田 和利:1 
[共同演者]
種石 慶:2、稲元 輝生:3、石津谷 祐:4、高田 晋吾:5、辻畑 正雄:6、谷川 剛:7、湊 のり子:8、中澤 成晃:9、高田 剛:10、鯉田 洋平:11、植村 元秀:1、奥野 恭二:2、東 治人:3、野々村 祝夫:1

1:大阪大学・大学院医学系研究科・泌尿器科、2:京都大学・大学院医学研究科・臨床システム腫瘍学、3:大阪医科大学・泌尿器科、4:地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター・泌尿器科、5:財団法人大阪府警察協会大阪警察病院・泌尿器科、6:独立行政法人労働者健康福祉機構大阪労災病院・泌尿器科、7:地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立急性期・総合医療センター・泌尿器科、8:財団法人住友病院・泌尿器科、9:兵庫県立西宮病院・泌尿器科、10:箕面市立病院・泌尿器科、11:東大阪市立総合病院・泌尿器科

 

進行性上部尿路上皮癌は予後不良であり、予後改善のため周術期化学療法が試みられているが、未だ効果に関するエビデンスレベルの高い報告はない。現在は病理診断に基づいて術後補助化学療法(AC)の対象患者を選定しているが、これまで様々な術後予後予測因子が報告されているにも関わらず、どのような患者にACを行うべきか明らかではない。我々はこれまでに術前の血中ナトリウム値およびヘモグロビン値が予後予測因子であることを明らかにしてきた。今回、腎尿管全摘除術を施行した限局性進行性上部尿路上皮癌患者においてACの有効性の検討と血中ナトリウム値およびヘモグロビン値がACの効果予測因子となるかを検討した。
対象・方法:腎尿管全摘除術を施行した上部尿路上皮癌患者912例の多施設データベースより術後補助化学療法の適応となりうる限局性高リスク症例としてpT3以上、LVI陽性の症例で、術前補助化学療法を受けていない344例を対象とした。ACの使用についてPropensity scoreによりmatchさせ、 癌特異的生存率(CSS)についてLog-rank検定にて検討した。Cox比例ハザードモデルを用いて年齢、pT、Grade、LVI、 Performance Status(PS)、術前血中ナトリウム、ヘモグロビン スコア値に関してACの効果を予測する因子を検討した。
結果:103例(29.9%)にACが施行され、経過観察期間中央値は32か月(1-103ケ月)であった。全症例のCSSに関するLog-rank検定では2群間に有意差を認めなかったが(p = 0.10)、年齢、性別、ECOG performance status、腫瘍グレード、pTステージ、Lymphovascular invasionの有無に関して調整したCox比例ハザードモデルでは、ACは有意にCSSを改善した(hazard ratio (HR) 0.45, 95%CI 0.25-0.81, p = 0.008)。また更にAC施行に対するPropensity scoreにて matchさせた群での比較でもACは有意に予後を改善した(HR 0.51, 95%CI 0.28-0.94, p = 0.037)。ACの効果予測因子について検討すると、全症例およびPropensity matchさせた群で共に、術前の血中ナトリウム低値(≤ 140mEq/ml)または低ヘモグロビン値(正常未満)の患者にてACにより有意に予後の改善を認めた(p < 0.01)。
結論:限局性高リスク上部尿路上皮癌患者の中で術前血中ナトリウム低値または低ヘモグロビン値を示す患者はACにより予後が改善され、ACの患者選択の判断に役立つと考えられた。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:化学療法

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