ミニシンポジウム
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MIBCに対する術後プラチナベース補助化学療法の意義: プロペンシティスコア調整解析 演題番号 : MS3-2
1:順天堂大学・医学部附属練馬病院・泌尿器科、2:横浜市立大学・大学院医学研究科・臨床統計学・疫学、3:帝京大学・医学部附属病院・泌尿器科、4:順天堂大学・大学院医学研究科・泌尿器外科学、5:順天堂大学・医学部附属浦安病院・泌尿器科、6:順天堂大学・医学部附属静岡病院・泌尿器科、7:杏林大学・医学部付属病院・泌尿器科
【緒言】膀胱全摘の術前補助化学療法は推奨グレードAであるが、様々な理由で実施できない症例を散見する。一方、膀胱全摘後の補助化学療法のエビデンスレベルは低く、大規模研究も少ない。我々は、プロペンシティスコアを用いて術後補助化学療法の有用性について評価する。
【方法】2004年1月から2013年12月までに膀胱全摘をうけた379例のうち、欠損データのない322例を解析対象とした。補助化学療法はGC、もしくはMVAC療法2-3コースが施行された。補助化学療法あり群、膀胱全摘単独群における癌特異的生存率(CSS)、全生存率(OS)をKM曲線、ログランク検定を用いて評価した。予後因子はCox回帰による単変量・多変量解析を用いて評価した。2群間の背景因子のばらつきが大きく、重み付きプロペンシティスコアによる調整を行い、群間の比較を行った。最後に、調整された集団におけるCSS、OSについて、背景因子によるサブグループ解析を行った。 【結果】調整されていないデータにおいて、補助化学療法群のCSS、OSは、統計学的に有意ではないが膀胱全摘単独群より悪い生存率であった(CSS; HR 1.49, 95%CI 0.90-2.45, p=0.121, OS; HR 1.33, 95%CI 0.83-2.12, p=0.243)。CSS、OSにおける単変量解析の予後不良因子は ≧pT3, pN+, ly+, v+、多変量解析の予後不良因子は pN+, 補助化学療法なしであった。プロペンシティスコア調整下での補助化学療法群のCSS 、OSは、統計学的に有意ではないが膀胱全摘単独群と比較して良好な生存率であった(CSS; HR 0.65, 95%CI 0.38-1.12, p=0.12, OS; HR 0.65, 95%CI 0.39-1.09, p=0.099)。 調整された集団のサブグループ解析において、補助化学療法は、≧pT3、pN+、ly+、 v+の群において有意にハザード比を減少させた。 【結論】患者背景を調整することで、プラチナベースの補助化学療法はCSS、OSを延長させる可能性があることが示唆された。サブグループ解析の結果は病理結果に基づく治療方針の意思決定に役立つ可能性がある。レトロスペクティブな解析であり、今後質の高いRCTが望まれる。 |
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