演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

予後不良症例を対象とする臨床試験における留意点

演題番号 : MS14-5

[筆頭演者]
釣田 義一郎:1 
[共同演者]
安井 寛:2、黒川 友博:1、立野 陽子:1、谷澤 健太郎:1、篠崎 大:1

1:東京大学・医科学研究所・附属病院外科、2:東京大学・医科学研究所・抗体・ワクチンセンター

 

【目的】我々の施設では、他施設共同研究の分担施設として、2013年11月に有効な治療法がない進行膵臓癌に対するサバイビンペプチドワクチン(SVN-2B)及びインターフェロンα(STI-01)の併用療法の有効性を検討する医師主導治験を開始し、目標症例数に到達したため2016年3月に新規症例募集を終了した。その間、390症例の膵臓癌症例の問い合わせがあり、そのうち151症例(39%)は、当院外来を受診した。本研究は、これらの症例を詳細に検討することにより、本治験のような予後不良症例に対する臨床試験についての考察を行うことを目的とした。
【対象と方法】1)問い合わせがあった390例について、問い合わせ時期、病状、問い合わせた人、患者の居住地等について検討した。2)当院外来を受診した151症例について、その病状、治療経過、治験参加の有無について検討した。
【結果】1)本治験は、開始時にプレスリリース(大手新聞2社が掲載)を行い、治験の詳細については、病院のHPで閲覧可能な状態とした。その結果390例中145例(37%)が開始後2カ月に集中した。しかし、標準治療が終了しBSCが既に数か月に及んでいることにより全身状態が悪化している症例や、逆に新聞を読んだだけで治験の詳細を知らないまま問い合わせを行う標準治療中の症例が多く見られた。問い合わせの多くは、親族からの問い合わせであり、本人からの問い合わせは少なかった。患者の居住地は、我々の施設の近郊が多かったが、数100km離れた遠方の症例も少なからずみられた。2)当院外来を受診した151症例についても、特に重症例は治験開始後数か月に多く見られ、外来受診時緊急入院となったり、スクリーニング検査期間に全身状態が急速に悪化する症例がみられた。治験に参加できなかった症例あるいは治験が終了した症例の中には、前医での治療ではなく我々の施設での治療を希望する症例が、特に近郊に居住している症例で多くみられた。治験を施行した症例は23例(15%)であった。
【結論】本治験のような、予後不良な状態の症例を対象とする臨床試験は、問い合わせ段階で全身状態不良な症例が多く、しかもその多くは試験開始直後に集中する。従って、問い合わせに対する対応や、外来診察時の治験参加可能かどうかの判断は非常に重要となる。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:臨床試験

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