演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

切除不能膵癌に対するnabPTX+gemcitabine療法の単施設における後ろ向きコホート研究

演題番号 : MS14-1

[筆頭演者]
伊東 文子:1 
[共同演者]
肱岡 範:1、水野 伸匡:1、奥野 のぞみ:1、田中 努:2、石原 誠:2、平山 裕:2、大西 祥代:2、千田 嘉毅:3、夏目 誠二:3、田近 正洋:2、清水 泰博:3、丹羽 康正:2、原 和生:1

1:愛知県がんセンター中央病院・消化器科、2:愛知県がんセンター中央病院・内視鏡、3:愛知県がんセンター中央病院・消化器外科

 

【背景】本邦における切除不能膵癌に対する全身化学療法は長らくGEM、S1の二剤のみであったが、近年FOLFIRINOX療法、nab-PTX/GEM療法が新たに保険収載となった。現行の膵癌診療ガイドラインでは全身状態良好な患者に対する一次化学療法として推奨されているが、実地診療における治療選択肢の使い分けについて確立されたものはない。本研究では実地診療でのnab-PTX/GEM療法の有効性と安全性について検討することを目的とした。
【方法】愛知県がんセンター中央病院において平成26年12月から平成28年3月までにnab-PTX/GEM療法を導入された切除不能膵臓癌患者113例に対し有効性および安全性について後方視的に検討をおこなった。
【結果】年齢中央値は68(37-80)歳、70歳以上18例、男/女 68/45、ECOG-PS 0/1 96/17、原発部位(膵頭部/膵体尾部) 46/67、局所進行/遠隔転移・再発 30/83、腹膜播種有18例、胆道ドレナージ38例、一次治療/二次治療以降 74/39であった。全体の生存期間中央値(OS)は377日、無増悪期間中央値(PFS)は168日であり、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)はそれぞれ42%、74%であった。全体の6例(5.3%)、cStageIVaの内3例(10%)で腫瘍縮小後にconversion surgeryが可能となった。一次治療群と二次治療以降群の比較では、OS:435日vs176日(HR3.82 95%C.I. 1.96-7.78 P<.0001)、PFS:270日vs126日 (HR2.15 95%C.I. 1.26-3.66 P=0.0047)であった。cox比例ハザードモデルを用いてOS、PFSに影響を与える因子を検討した結果、OSに影響を与える因子は一次治療、PS0、PFSに影響を与える因子はPS0となり、年齢はOS、PFSともに影響を与える因子にならなかった。また、ORR58%vs14% (P=0.037)、DCR81%vs61% (P<.0001)となり、二次治療以降群と比較し一次治療群の抗腫瘍効果は良好であった。有害事象ではGrade3以上の血液毒性について発熱性好中球減少症が4例(3.6%)、好中球数減少が37例(33.3%)、血小板数減少を7例(6.3%)に認め、非血液毒性では皮疹を1例(0.9%)、間質性肺炎を6例(5.4%)で認めた。後治療は32例で実施されS1が18例(56%)と最も多かった。
【結語】進行・再発膵癌に対してnab-PTX/GEM療法は、実地診療においても高い有効性と忍容性が示された。一次治療に比べ二次治療以降では有効性が落ちる可能性がある一方、二次治療以降における有効性は既報と比較しても良好であった。nab-PTX/GEM療法の使い分けについては今後の検討課題である。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:化学療法

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