演題抄録

ミニシンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

癌患者におけるケトン食の有用性と安全性の検討

演題番号 : MS1-5

[筆頭演者]
萩原 圭祐:1 
[共同演者]
長井 直子:2、木島 貴志:3、下野 九理仔:4、下瀬川 恵久:5、馬場 孝輔:1、吉川 秀樹:6

1:大阪大学・大学院医学系研究科・漢方医学寄附講座、2:大阪大学・医学部附属病院・栄養マネジメント部、3:大阪大学・大学院医学系研究科・呼吸器内科、4:大阪大学・大学院・連合小児発達研究科、5:大阪大学・大学院医学系研究科・核医学講座、6:大阪大学・大学院医学系研究科・器官制御外科学

 

背景と目的 昨年、我々は、非小細胞性肺悪性腫瘍患者に対する検討で、糖質制限高脂肪食を用いた「ケトン食治療」が、癌治療における新たな支持療法となりうる可能性を報告した。今回、我々は、その他の癌腫にもケトン食治療を導入し、その有用性と安全性を検討した。
方法 大阪大学ゲノム審査委員会に追加申請を行い、すべての癌腫でのケトン食治療の承認を得た。stage IV期、PS0-1、経口摂取可能な患者を対象とし、化学療法、放射線療法などの併用は可能とした。ケトン食導入方法は、同様に行い、エネルギー補給に、MCTオイル、ケトンフォミュラを使用した。導入3か月後でのPET-CTによる評価を主要評価項目とし、導入12か月後での生存率の評価、QOLスコア(EORTC QLQ-C30)、消化器症状スコア(GSRS)を副次評価項目とした。
結果 昨年報告した5例に加え、2016年4月までに8例の同意を取得した。患者背景は、M2:F6、63.0±13.1才、162.9±6.5cm、53.1±9.4kg、BMI19.9±2.6。疾患背景は、肺癌2例、乳癌再発2回目1例、子宮体癌再発1例。膀胱癌再発1例、卵巣癌再発2回目1例、腹膜癌再発4回目1例、直腸癌転移性肝腫瘍1例であった。8例で化学療法、4例で放射線療法の治療歴があった。肺癌2例は、1例が嘔気、1例が治療途中に腺癌より小細胞癌に形質変化し中止。膀胱癌1例は、その他の癌治療に伴う有害事象により中止。2016年現在、評価可能は4例であった。血中ケトン体は、1か月でアセト酢酸707.3±780.5μmol/L、βH酪酸1620.5±1632.9μmol/Lに上昇し、低血糖、嘔気、倦怠感などは認めず、3か月でのGSRSスコア1.94±0.86→1.70±0.71と改善傾向を示した。全身状態スケールは47.9±23.9→66.6±23.5とやや悪化を示した。3か月でのPET-CTでは、乳癌、子宮体癌症例でSD、卵巣癌、腹膜癌症例はPRであった。子宮体癌1例は、導入時、腹水貯留が強く、ケトンフォミュラ中心に栄養補給を行い、1か月後CA125 6815→4486U/mlに低下し、腹水の緊満も改善し、QOLも改善したが、化学療法の再開は拒否され、導入後4ヶ月で永眠された。2016年4月現在、その他の3例は生存し、卵巣癌症例は、4月に根治術を予定している。昨年、報告した肺癌患者3例は、2016年4月現在も長期生存している。
考察 肺癌以外の癌患者においてもケトン食治療は安全に施行され、延命効果を示す可能性も示唆された。今後も、症例を積みかさね、その有効性を明らかにしていく必要があると思われる。

キーワード

臓器別:その他

手法別:支持療法

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