演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

化学療法誘発性末梢神経障害に対するデュロキセチンの効果:パイロットランダム化試験

演題番号 : WS92-3

[筆頭演者]
平山 泰生:1 
[共同演者]
照井 健:1、日下部 俊朗:3、神原 悠輔:1、中嶋 千紗:3、石谷 邦彦:2

1:医療法人東札幌病院血液腫瘍科、2:医療法人東札幌病院緩和ケア科、3:医療法人東札幌病院消化器科

 

[目的] デュロキセチンはセロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤であり本邦での適応はうつ病・うつ状態あるいは糖尿病性神経障害に伴う疼痛、である。近年Phase 3臨床試験が米国で施行されデュロキセチンがタキサンと白金製剤誘発性の末梢神経障害(CIPN)に有効である事が示されたが (Smith et al. JAMA 2013)、日本での前向き臨床試験はなかった。今回、日本人においてもデュロキセチンが有効かどうかビタミンB12を対照として臨床試験を計画した。
[方法] 院内倫理委員会承認およびUMIN登録後、オキサリプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ビンクリスチン、ボルテゾミブによるCIPNを呈する登録患者をA、B群に無作為割り付けした。A群はデュロキセチン4週投与(20mg,1週のち40mg,3週)のち2-4週のwashout期間を隔てビタミンB12(1500mg)を4週投与した。B群はA群の逆順とした(オープンラベル、ランダム化クロスオーバー試験、UMIN 000011554)。しびれ感と疼痛の程度を毎週のVisual analogue scale (VAS)で検討した。
[結果] 35名が登録された。デュロキセチン投与時期にはしびれ感と疼痛両者とも著明なVAS値の低下が見られた。またA,B群における前値と4週時点でのVAS 値の差ではしびれ感(-2.6 vs -0.8)と疼痛(-1.9 vs -0.2)両者とも有意にA群(デュロキセチン投与)でVASの低下が見られた(p=0.03および 0.04) 。有害事象としてはCTCAE grade 1の倦怠感、嘔気、傾眠が計13例でみられ、5例は有害事象で投与中止した(主たるデータに関してIJCO in press)。
[考察および結語] 本臨床試験開始後に米国臨床腫瘍学会(ASCO)からCIPNのガイドライン(Hershman et al. JCO 2014)が公表されたが「デュロキセチンは他のどの薬剤よりも推奨度が高い(moderate recommendation)」との記載であった。本試験はオープンラベルのためプラセボ効果も否定できない。また症例数も十分とは言えないが、日本人においてもデュロキセチンがCIPNに有効であり有害事象も許容範囲であることが示唆された。

キーワード

臓器別:その他

手法別:支持療法

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