演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

膵退形成癌の由来と治療標的に関する免疫組織学的検討

演題番号 : WS70-5

[筆頭演者]
三浦 光太郎:1 
[共同演者]
木村 健二郎:1、天野 良亮:1、山添 定明:1、西尾 康平:1、大平 豪:1、永原 央:1、豊川 貴弘:1、久保 尚士:1、田中 浩明:1、六車 一哉:1、八代 正和:1、前田 清:1、大平 雅一:1、平川 弘聖:1

1:大阪市立大学大学院医学研究科腫瘍外科

 

【背景】膵退形成癌は非常に稀な頻度で、また平均生存期間は3-6ヶ月と通常型膵癌と比べても、極めて予後不良である。組織学的には、未分化な癌細胞で構成される成分(Undifferentiated lesion: UL)の中に、一部腺管構造が残っている成分(Ductal lesion: DL)を有するため、浸潤性膵管癌に由来すると考えられているが、その詳細は明らかではない。また、通常型膵癌と同じ治療が行われているが、同様の効果が得られるかは不明である。【目的】ULとDL、および通常型膵癌に発現する蛋白を免疫組織染色にて比較して、退形成癌の由来と進展について検討し、有効となり得る治療ターゲットを探索した。【対象と方法】当院で経験した膵退形成癌6例、および分化型浸潤性膵管癌37例 (高分化型: Well 17例、中分化型: Mod 20例) の切除標本を用いて、Ductal linage markerであるSOX9、EMT関連マーカーであるE-cadherin、vimentin、Zeb-1、Snail、N-cadherin、幹細胞マーカーであるCD24、CD44に対する免疫組織染色を行った。退形成癌における癌領域を、腺癌領域(Ductal lesion: DL)と、未分化な領域(Undifferentiated lesion: UL)に分けた。対象領域の染色強度と染色領域よりスコアを0-3に分類した。DL、UL、Well 1例につき5視野ずつスコア化し、3領域間の関係を評価した。【結果】DL、UL、Well、Modにおける、各抗体別の染色スコア平均値を示す。SOX9: UL/DL/Well/Mod=2.7/2.0/2.5/2.5. E-cadherin: UL/DL/Well/Mod= 0.27/2.7/2.2/2.3。vimentin: UL/DL/Well/Mod=2.3/0.83/0/0.42。 Zeb-1: UL/DL/Well/Mod =2.0/0.67/0.01/0.45。Snail: UL/DL/Well/Mod=2.1/1.4/0.26/0.89。N-cadherin: UL/DL/Well/Mod=2.2/1.0/0.76/0.69。CD24:UL/DL/Well/Mod=0.56/0.3/0.4/0.54。CD44: UL/DL/Well/Mod=1.7/0.30/0.21/0.47。【考察】SOX9の発現パターンから、ULは腺管上皮由来である可能性が考えられた。また、ULにおけるEMT関連蛋白の発現パターンから、EMTが脱分化に関与している可能性が示唆された。CD24とCD44の発現は3領域とも平均スコアは低かったが、UL の6例中3例が陽性であり、脱分化した細胞は幹細胞性を獲得する傾向にあると考えられた。【結語】浸潤性膵管癌はEMTや幹細胞性の獲得により、脱分化を起こし、より悪性度の高い退形成癌へ進展する可能性が示唆された。また、退形成癌も通常型膵癌と同様にEMTや癌幹細胞をターゲットとする治療が有用となると考えられた。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:病理

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