演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

膵臓癌に対するエリブリンとナファモスタットメシル酸塩を用いた新規治療の可能性

演題番号 : WS70-2

[筆頭演者]
竹崎 由佳:1 
[共同演者]
並川 努:1、坂本 浩一:1、北川 博之:1、宗景 匡哉:1、花崎 和弘:1

1:高知大学医学部外科学1

 

[目的]
膵臓癌はhypovascularであり、低酸素環境下で増 殖する。膵臓癌の低酸素適応応答が難治性である一つの理由と 考えられている。
低酸素環境下ではHypoxia-inducible factor-1α (HIF-1α)が活性化しその結果、血管新生を介して癌の浸潤・転移能が増し、放射線・抗癌剤などに対する治療抵抗性を示すと考えられている。また、HIF-1が低酸素適応応答のみに限らずNF-κBを誘導することが散見されている。NF-κBは膵臓癌において高発現が認められており、活性化が癌細胞の増殖及び生死の決定において重要な役割を果たすとの報告が多数ある。膵臓癌細胞における活性化型NF-κBの制御により、増殖・浸潤・転移などの癌細胞の悪性形質の抑制が可能であることが明らかになってきた。以上のことにより我々はHIF-1αの発現を抑制だけでなく、NF-κBの活性化も抑制することが、膵臓癌に対する新規化学療法として有効ではないかとの仮説を立てた。具体的には血管リモデリングによって血流の正常化による腫瘍内低酸素状態を解除できる可能性が示唆されているエリブリンとNF-κBインヒビターであるナファモスタットメシル酸塩に着目し2剤を用いて検討を行った。
[方法] 使用細胞株はSW1990、ASPC-1、Panc-1、Miapaca2、SUIT-2用いた。WST assay法、形態学的観察、TUNEL染色、Western blotで検討を行った。
[結果] WST assayではエリブリン単独、ナファモスタットメシル酸塩単独に細胞増殖を抑制し、2剤の併用を行ったところ相乗的な細胞増殖抑制効果が見られた。また形態学的観察ではASPC-1およびPanc-1においては、エリブリン濃度が0.5ng/ml以上では明かな形態変化を認めた。TUNEL染色では単独より併用を行う事で有意にTUNEL陽性細胞が多く確認できた。
[総括]エリブリンは臨床的に用いられている血中濃度より低い濃度で細胞増殖を抑制し十分な効果を発揮した。ナファモスタットメシル酸塩は他の蛋白酵素阻害剤と比較し非調節性の細胞増殖などの悪性形質の抑制効果が強く、正常細胞への毒性も低いと報告されている。今後、これら2剤の併用療法により患者の予後の改善に一定の効果が期待される。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:化学療法

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