演題抄録

ワークショップ

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開催回
第53回・2015年・京都
 

膵癌細胞における S-1 + nab-paclitaxel 併用療法に関する基礎的研究

演題番号 : WS70-1

[筆頭演者]
山田 豪:1 
[共同演者]
藤井 努:1、末永 雅也:1、岩田 直樹:1、田中 千恵:1、中山 吾郎:1、杉本 博行:1、小池 聖彦:1、藤原 道隆:1、小寺 泰弘:1

1:名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学

 

[目的] 本邦の膵癌治療においても、nab-paclitaxel (nab-PTX) が gemcitabineとの併用療法で新たに認可された。nab-PTX の作用機序としては、膵癌間質組織の線維化に対する抑制効果が示唆されている。一方、本邦では膵癌に対する S-1 の有効性が広く知られているが、S-1 と nab-PTX の併用療法に関する報告はない。今回われわれは、S-1 + nab-PTX の有効性、忍容性につき検討した。

[方法] ① in vitro: 3種類の膵癌細胞株(PANC-1、MIA-PaCa-2、MPanc-96)にてWST-1 assayを行い、S-1、gemcitabine、nab-PTX 単剤と併用療法の効果を比較検討した。また、S-1 との併用療法では Paclitaxel (PTX) との比較も行った。② in vivo: ヌードマウスの両側腹部に1×107個の細胞により皮下腫瘍モデルを作成した。control 群、S-1 群(8 mg/kg、5日間経口投与/2日間休薬)、nab-PTX 群(10 mg/kg、週2日腹腔内投与)、S-1 + nab-PTX 群の4群に3週間の治療を行い、体重変化、腫瘍体積を計測し、免疫染色を用いて検討した。

[結果] ① in vitro: S-1、gemcitabine、nab-PTX の単剤では、容量依存的に細胞増殖を阻害した。IC50に基づき、S-1、gemcitabine、nab-PTX の濃度を10μM、1μM、0.01μMに設定すると、S-1 + nab-PTX と gemcitabine + nab-PTX は共に23.830.1%の増殖阻害を示したが、有意差を認めなかった。同濃度の S-1 + PTX でも同様の結果であった。S-1 + nab-PTX の増殖阻害効果につき combination index にて統計学的に検討すると、synergistic effectを示した。② in vivo: いずれの群も体重減少は20%以下であり、S-1 + nab-PTX の忍容性が確認された。相対腫瘍体積では、S-1 + nab-PTX 群は各単剤群に比して腫瘍増殖が有意に阻害され、control 群に比較すると31.1%の増殖阻害作用を示した(P = 0.009)。fractional tumor volumeを用いた相対腫瘍体積の評価では、S-1 + nab-PTX 群では synergistic effect を示した。腫瘍の α-SMA 染色では、nab-PTX 群と S-1 + nab-PTX 群は有意な間質組織の線維化抑制効果を認め(P < 0.001)、CD31染色では S-1 + nab-PTX 群は control 群と比較して有意な微小血管の増加を認めた(P = 0.046)。

[結語] in vitro in vivo の結果から、S-1 + nab-PTX は有望なレジメンとなる可能性が示唆され、その作用機序としては nab-PTX による間質組織の線維化抑制と腫瘍内微小血管増加による可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:化学療法

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