演題抄録

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開催回
第53回・2015年・京都
 

若年子宮頸癌への放射線療法における卵巣移動術

演題番号 : WS57-3

[筆頭演者]
関口 勲:1 
[共同演者]
鎌田 裕之:1、富川 盛啓:2、片野 進:3、井上 浩一:3

1:栃木県立がんセンター婦人科、2:栃木県立がんセンター外科、3:栃木県立がんセンター放射線治療部

 

【目的】子宮頚癌放射線療法時の卵巣機能の消失を回避する目的にて、根治的放射線療法(根治照射)前、あるいは術後放射線療法(術後照射)の可能性がある症例の子宮摘出時に卵巣移動術を施行した。
【症例・方法】症例は子宮頚癌37例(TNM分類:1B1期21例、1B2期6例、2A期3例、3B期7例、組織型:扁平上皮癌26例、腺癌10例、肉腫1例)である。年齢は36±5歳(24~45)である。根治照射は11例(腹腔鏡手術10例、開腹術1例)、術後照射は26例である。卵巣移動術は両側施行29例、片側施行8例である。腹腔鏡下卵巣移動術は臍部より内視鏡を挿入し、下腹部3か所にトラカールを挿入するダイアモンド法により施行した。卵巣固有靭帯および卵管をリニアステープラーにて切断後、卵巣動静脈を上方に剥離し、卵巣および卵管を臍の高さの結腸傍溝部にヘルニアステープラーあるいは縫合糸で固定した。開腹術では創は恥骨上縁から臍部までの縦切開とし、腹腔鏡と同様の部位に絹糸にて切除卵巣を縫合固定した。放射線療法は骨盤外照射50Gyおよび腔内照射18Gy、術後照射は骨盤外照射50Gyとし、シスプラチンは12例に併用した。卵巣機能の確認は月経あるいは更年期障害の有無、血中エストラジオール値測定などによった。
【結果】子宮摘出例では26例中10例に放射線療法を、1例に化学療法を施行した。術後照射の適応は筋層浸潤2/3以上6例、リンパ節転移4例、断端陽性1例であった。放射線療法後の卵巣機能は根治照射例では11例中9例(82%)、術後照射例では7例( 70%)に認められ、ホルモン補充療法はそれぞれ2例、3例に実施した。術後に移動卵巣の位置がレントゲン検査で確認できた16例中、卵巣機能が温存されたのは、卵巣が骨盤外に認められた13例中12例であったのに対し、骨盤内に認められた3例では1例のみであった。治療後平均観察期間は6年±4年(1年~14年)で、4例に再発が認められ3例が死亡した。経過観察中に移動卵巣に転移が認められた症例はなかった。1例に良性卵巣腫瘍が発生し摘出術を施行した。また、移動卵巣の痛みで鎮痛剤を必要とした症例もなかった。
【結論】若年子宮頚癌婦人の放射線療法時の卵巣移動術は予後を悪化させることなく、QOLを向上させる可能性がある。卵巣は少なくとも骨盤外に移動すること、照射野設定時の判断のためにクリップなどでのマーキングをすることなどが望ましい。

キーワード

臓器別:子宮

手法別:放射線治療

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