演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

上部尿路上皮癌における周術期抗癌化学療法が必要な症例選択を目的としたリスク分類

演題番号 : WS43-5

[筆頭演者]
長尾 一公:1 
[共同演者]
井上 亮:1、稲本 輝生:2、高原 健:2、松本 洋明:1、山本 義明:1、小林 圭太:1、坂野 滋:1、東 治人:2、松山 豪泰:1

1:山口大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野、2:大阪医科大学腎泌尿器外科

 

背景;進行性上部尿路上皮癌の予後は不良であるが、進行性膀胱癌において予後改善効果が証明された術前化学療法も上部尿路上皮癌においては明確なエビデンスはない。我々は術前因子を用いた周術期抗癌化学療法が必要な症例を予測するモデル構築を試みた。
対象と方法;対象は腎尿管全摘術を施行した上部尿路上皮癌536例(グループ1)と150例(グループ2)の計686例(男/女: 474/215例、平均年齢: 70.7歳、<pT2:432, <pT3: 250, 不明: 4, Grade 1/2/3/不明: 36/291/334/25)である。方法は、グループ1を対象として多変量解析を行い、癌特異的生存に関連する独立予後因子を術前因子から抽出後、リスク数に基づくリスク分類を行い、グループ2を対象として、このリスク分類の検証をおこなった。さらに周術期化学療法施行群と非施行群間に、癌特異的生存および全生存期間に差があるか否かをリスク数で階層化した群毎に検討した。また術前検査値(ヘモグロビン、CRP、白血球数)は、癌死をアウトカムとしたROC曲線によりカットオフ値を設定した。
結果;グループ1を対象にした単変量解析による癌死の予後因子は、腫瘍部位(腎盂尿管同時発生)、腫瘍数(多発)、患側水腎症、自排尿細胞診陽性、cT3以上、cN+、CRP高値(カットオフ:0.31)であった。多変量解析にて独立予後因子となったのはcT3以上, cN+, CRP高値であり、これらを組み合わせた癌死予測モデルのAUC値は0.70であった。グループ2における検証でも、これらの3因子は多変量解析で独立予後因子となり、癌死予測モデルのAUC値は0.78と良好であった。次に3因子がすべてそろった435例についてリスク因子数で階層化(0: 202, 1: 152, 2: 51, 3: 30例)したリスクモデルを作成したところ、それぞれの5年生存率は84.7%, 67.7%, 32.2%, 22.0%であった。最後に周術期抗がん剤治療(CDDPを含む)を施行した138例(術前:33, 術後:117)と非施行例296例の癌特異的および全生存率をリスク因子数ごとに解析したところ、抗がん剤治療により生命予後が有意に良好であったのは3因子すべてそろった群のみであった(癌特異的生存率、全生存率ともにp<0.05)。
結語:上部尿路上皮癌の生命予後は術前因子により予測可能であり、cT3以上, cN+, CRP高値の3因子が揃った症例は、抗がん剤化学療法の生命予後改善効果が期待出来るため、周術期化学療法を考慮すべきと思われた。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:診断

前へ戻る