演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

80歳以上高齢者における胃癌術後補助化学療法の現状

演題番号 : WS37-3

[筆頭演者]
棚橋 利行:1,2 
[共同演者]
吉田 和弘:1,2、山口 和也:1,2、奥村 直樹:1,2、田中 善宏:1、松橋 延壽:1、寺島 雅典:2、佐野 武:2、笹子 三津留:2

1:岐阜大学大学院医学系研究科腫瘍外科学、2:JCOG胃がんグループ

 

【緒言】本邦は世界的にも胃癌罹患率が高く、今後も超高齢社会の進行によって高齢胃癌患者が増加することが予想される。ACTS-GC試験の結果より、胃癌取扱い規約第13版による根治A、B手術(D2以上のリンパ節郭清)を受けたpStageII、IIIA、IIIB症例に対してはS-1の補助化学療法が胃癌治療ガイドラインにて推奨されているが、80歳を超える症例に対するエビデンスはない。
【目的】80歳以上高齢者のおける胃癌術後補助化学療法の現状の把握。
【対象・方法】2011年1月から2012年12月までの二年間で胃癌手術を施行したpStageII、IIIの80歳以上高齢者につき、JCOG胃がんグループ各施設にアンケート調査を行い、患者背景、術後補助化学療法の継続状況などを調べた。
【結果】58施設中51施設(87.9%)施設より回答をいただき、手術患者総数は15573人で、そのうち80歳以上は1660人(10.7%)であった。pStageII、IIIであった患者は661人であり、補助化学療法を勧めたのは248人(47.5%)であった。そのうち実際に同意が得られ施行できたのは99人(勧めたうち39.9%)であり、全80歳以上pStageII、III患者の15.0%でしか投与はできておらず、一般的に手術単独で終わる施設が多かった。補助化学療法を勧めなかった理由や勧めたが同意を得られなかった理由としては、高齢のためが一番多かった。補助化学療法を施行した99人においては、平均年齢が81.7歳、男性/女性 63人/36人、StageII/StageIII 32人/67人であった。半年以上S-1が内服できたのは54人であり、約一年完遂できたのは37人(37.4%)であった。その多くが一段階以上の減量での開始であった。Ccrの値と一年継続率はあまり相関しなかったが、減量で開始することで継続率は上がると考えられた。また、S-1開始までの体重減少率が15%を超えると、その継続率は極めて不良であった。
【考察】EORTCでは高齢者を①Fit patients;治療やendpointが若年者と同様な集団、②Vulnerable patients;outcomeを何にするかを含め、特別に治療を検討すべき集団、③Frail patients;BSCとなる集団、の3グループに分類されているが、Fit patientsにおいてはACTS-GC通りの治療をすること、Frail patientsにおいては治療の適応はない、とコンセンサスは得られているため、今後Vulnerable patientsにおける前向きの臨床試験が必要と考えられる。これにより新たな高齢者におけるエビデンスの確立ができればよいと思われる。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:化学療法

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