演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

高齢者における完全腹腔鏡下幽門側胃切除術の有用性に関する検討

演題番号 : WS37-2

[筆頭演者]
辻本 広紀:1 
[共同演者]
神津 慶多:1、平木 修一:1、堀口 寛之:1、野村 信介:1、伊藤 希:1、兼松 恭平:1、山崎 健司:1、永田 健:1、原田 学:1、青笹 季文:1、野呂 拓史:1、山本 順司:1、長谷 和生:1

1:防衛医科大学校外科学講座

 

【背景】当科では腹腔鏡補助下幽門側胃切除(LADG)から、さらなる低侵襲性を追求し上腹部の小開腹を伴わない完全腹腔鏡下幽門側胃切除(TLDG)を導入した。今回、高齢者におけるTLDGの有用性を手術成績、鎮痛薬使用頻度などから検証した。
【対象】2010年から2015年までに当科でTLDGあるいはLADGを施行された102名を対象とし、手術時年齢が75歳以上をE群、75歳未満をY群として臨床病理学的因子および術後生体反応、鎮痛剤の使用量について両群間でretrospectiveに比較検討した。
【結果】両群間に性、占居部位、組織型、腫瘍進行度に差はみられなかった。E群ではY群と比較して有意にBMI(E:Y=20.4: 22.3)が低値であった。またE群では術前併存症が有意に高頻度(84.0: 41.6%)で、また複数の併存症を合併(36.0: 11.7%)しており、特に心血管系、および呼吸器系の併存症が多かった。両群において郭清範囲や手術時間に差は認められなかったが、E群で経口摂取開始時期が遅く(4.6: 3.3日)、術後在院日数が長かった(13.2: 9.8日)。術後合併症発症頻度には両群で差を認めなかった(20.0: 14.3%)。術後の硬膜外麻酔抜去時期については両群間に差はなく、POD5までの鎮痛剤使用量に関しても差を認めなかった。術式別に鎮痛剤使用量を検討すると、LADG症例では両群間に差を認めなかったが、TLDG症例ではE群において、POD1、POD2およびPOD5までの総使用量がY群と比較して有意に少量であり、POD1に鎮痛剤を使用した症例もE群で有意に少なかった(6.7: 35.7%)。またE群ではLADG症例と比較して、TLDG症例で有意にPOD5までの鎮痛剤使用量が少量であったが、Y群では差は認められなかった。
【結語】75歳以上の高齢者では、術前の併存疾患が若年者と比較して有意に多かった。高齢者では、上腹部に小切開を置かないTLDGにおいては術後の鎮痛剤使用量が少なく、疼痛や整容面で優れており、術後合併症予防策としてのTLDGの有用性が示唆された。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:QOL

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