演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

遺伝子発現による大腸癌budding signature構築と予後因子としての評価および検証

演題番号 : WS33-5

[筆頭演者]
神藤 英二:1 
[共同演者]
吉田 雄一郎:2、上野 秀樹:1、梶原 由規:1、久保 徹:1、深澤 智美:1、末山 貴浩:1、山寺 勝人:1、渡邊 智記:1、阿尾 理一:1、米村 圭介:1、青笹 季文:1、津田 均:3、山本 順司:1、長谷 和生:1

1:防衛医科大学校外科、2:シスメックス株式会社、3:防衛医科大学校病態病理

 

大腸癌におけるbuddingは先進部低分化傾向の組織学的指標で、予後不良因子として認識されているが、判定における評価者間一致率が不十分で、再現性が問題とされる。今回、buddingの程度を客観的に評価できるsignatureを構築するとともに、予後因子としての意義について検証を行った。【方法】当科のStageⅡもしくはⅢ大腸癌治癒切除85例(2002-3)を対象とし、凍結切片の腫瘍先進部と表層部からLaser capture microdissectionにて組織を採取、RNAを抽出した。DNAチップにて遺伝子発現データプロファイルを取得、buddingと相関の強い遺伝子を同定、signatureを構築した。予後予測因子としての意義を当科症例にて検討し、StageⅡ/Ⅲ症例が登録された公共データベース(Gene expression omnibus)を利用し再現性を検証した。【結果】1] budding signatureの構築:budding高度の3症例を選択、発現の認めた遺伝子(23509種)から、先進部/表層部の発現比が全ての症例で2以上かつ先進部/組織全体の発現比が1以上の34遺伝子を選択した。さらに、当科85症例の検討から、budding高度症例で軽度症例に比し有意に高発現する7遺伝子を選択、この7遺伝子のシグナルの対数の平均値を算出しbudding signature scoreと命名した。scoreはbuddingの程度と強い相関を示した(P=0.000014)。 2]予後因子としての意義:当科症例を使用しROC曲線を基にbudding signature score のcut-off値を設定した場合、有意な予後因子となった(5-yr Disease free survival (DFS):高score72.7%vs低score90.6%, P=0.044)。これはDNAチップデータから算出した既存のOncotypeDx colonの予測能(5-yrDFS:高リスク73.1% vs低リスク91.8%, P=0.035)と同等であった。3]公共データベースによる検証:3種の公共データを用い検証したところ、GSE14333(n=111, 5-yrDFS:高score37.1%vs低score61.1%, P=0.0054)、GSE17538(n=148, 5-yrDFS:40.4%vs84.6%, P=0.0041)、GSE39582(n=461, 5-yr recurrence free survival(RFS) :43.8% vs63.6%, P=0.00047)と、いずれも有意な予後因子となった。GSE39582ではOncotypeDx colon(n=461, 5-yrRFS:高リスク45.8%vs低リスク62.4%, P=0.0014)に劣らない予後予測能を示した。【結語】大腸癌の部位別遺伝子発現の検討からbudding signature scoreを構築した。StageⅡ/Ⅲ大腸癌においてscoreの予後予測因子としての意義が認められ、公共データにより検証がなされた。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:バイオマーカー

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