演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

炭素線とX線の細胞に与える違いは何か~ユビキチン化タンパク質による検討~

演題番号 : WS33-2

[筆頭演者]
磯崎 哲朗:1,2 
[共同演者]
藤田 真由美:1、今留 香織:1、今井 高志:1、山田 滋:1、松原 久裕:2

1:独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院、2:千葉大学大学院先端応用外科

 

【背景・目的】従来放射線抵抗性と言われていた様々な固形がんに対して炭素線治療が施行され、非常に良好な成績を得ている。X線と炭素線の生物学的効果の違いについては様々な研究がされており、その要因としては、①細胞に生じた損傷が修復しにくいこと、②細胞周期に非依存性であること、③低酸素細胞にも有効であること。と報告されているがタンパク質の変性による影響についての報告は認められない。タンパク質は酸化ストレスのような刺激により変性し、その機能が障害されることが知られているため、放射線照射によってもタンパク質変成が生じることが予想される。我々は、放射線の線質によってタンパク質変性に差があるのではないかと予想し、大腸癌細胞株を用いてX線と炭素線照射後のユビキチン化タンパク質(変成タンパク質はユビキチン化される)の出現を観察、X線と炭素線の線質特異性が見出せるかの検討を行った。
【方法】直腸癌細胞SW480、SW620へX線もしくは炭素線を照射し免疫染色法により照射後の細胞のユビキチン化タンパクを観察する。
【結果】癌細胞に炭素線照射を施行した群ではX線照射群と比較してユビキチン化タンパク質の凝集体(ALIS)が多く出現した。ユビキチン化タンパク質はその後プロテアソームにより分解されるが、プロテアソーム阻害剤を加えることにより炭素線照射後に出現するALISはプロテアソームと共局在を認めた。そのため、炭素線照射後のALISはプロテアソームで分解されることが予想された。プロテアソーム阻害剤を加えると炭素線照射後の細胞ではX線照射後の細胞と比較してより細胞死が誘導された。よって、炭素線照射後のALISの分解は細胞が生存するために必要であることが予想された。
【考察】これらの結果から、炭素線照射により細胞内のユビキチン化タンパク質は多く形成され、プロテアソーム阻害剤により細胞死が誘導されることが分かった。本研究より、プロテアソーム阻害剤は重粒子線の増感剤として作用することが期待された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:放射線治療

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