演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

In vitroにおける大腸癌細胞(KRAS変異型)の増殖・薬剤耐性アッセイ系の構築及び解析

演題番号 : WS32-5

[筆頭演者]
小山 誠:1 
[共同演者]
北沢 将人:1、鈴木 彰:1、宮川 雄輔:1、宮川 眞一:1

1:信州大学医学部附属病院消化器外科

 

【はじめに】大腸癌においてKRAS遺伝子変異は約40%に認められ、予後及び抗EGFR抗体効果予測因子の一つとされている。KRAS遺伝子変異は約90%がexon2(12,13codon)に認められるため、これまでexon2の変異測定のみが行われてきた。しかし、抗EGFR抗体を用いた大規模試験の後解析や基礎研究により、KRAS exon3,4及びNRAS変異型大腸癌も、予後不良でかつ抗EGFR抗体耐性である可能性が示唆されてきており、これらの変異測定も必要となってきている。KRAS変異型ごとに予後を解析した場合、G13Dは他の変異型に比べ予後良好とする報告や、抗EGFR抗体感受性であるといった報告があるが、それらを否定する報告も多く未だに議論の余地が残されている。またKRAS exon3,4、NRAS変異型大腸癌を含めたminor populationの遺伝子変異症例に関しては、臨床症例のみでの悪性度や薬剤感受性の評価は困難である。我々はIn vitroで大腸癌細胞株に対し、変異型KRAS遺伝子を導入する安定した実験系を確立した。これを用い、KRAS変異型大腸癌細胞における増殖能、抗EGFR抗体耐性について検討を行ったので、報告する。
【実験方法】大腸癌細胞株CaCo2(KRAS 野生型)にRetrovirus vector :PMX-IRES-GFPを用い、野生型KRAS , 変異型KRAS(G12D, G12V, G13D)の遺伝子導入大腸癌細胞を作成した。遺伝子導入細胞は蛍光タンパクGFPを発現するため、フローサイトメトリーにて遺伝子導入を確認した。遺伝子を導入していないCaCo2(parental細胞)と遺伝子導入細胞を1:1に調整し、GFPの発現を経時的に測定することにより(ミックスカルチャーアッセイ)、細胞増殖能を評価した。また同様の評価方法を用いて、抗EGFR抗体の感受性について検討を行った。
【結果】変異型KRAS遺伝子導入大腸癌細胞(G12D, G12V, G13D)は、野生型KRASと比較していずれも強い増殖能を示し、また抗EGFR抗体に対する耐性を示した。
【結語】この結果はKRAS変異型大腸癌の強い増殖能、抗EGFR抗体耐性という、臨床データと同様の結果を示した。この実験系を用いることで、他の変異型KRAS(G12S,G12A,Q61H,A146T)、変異型NRASについても同様に、増殖能や抗癌剤耐性について評価可能と考えられる。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:基礎腫瘍学

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