演題抄録

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開催回
第53回・2015年・京都
 

大腸癌における粘液成分とKRAS変異の関連性および予後の検討

演題番号 : WS32-2

[筆頭演者]
淺利 昌大:1 
[共同演者]
塩澤 学:1、村川 正明:1、山奥 公一朗:1、片山 雄介:1、青山 徹:1、金澤 周:1、樋口 晃生:1、森永 聡一郎:1、赤池 信:1

1:地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター消化器外科

 

【目的】KRAS変異は抗EGFR抗体薬の効果予測因子として知られるが,病理組織学的特徴や予後との関連は明らかではない.大腸癌取扱い規約では最大面積を持つ成分により組織型が決まるが,近年,粘液癌や印環細胞癌の成分を持つものは面積の多寡によらず,それぞれ臨床病理学的特徴が類似していることを示唆する研究が増えている.大腸癌におけるKRAS変異と病理組織学的特徴との関連性および予後について検討した.
【対象/方法】2010年~2014年に当院でKRAS変異解析を施行した大腸癌手術症例201例についてretrospectiveに臨床病理学的検討を行った.腫瘍組織型は優勢な組織型の他に劣勢な組織型も併せて検討に含め,mucを含む群を「粘液型」,por/sigを含む群を「低分化型」,tubのみの組織型成分を持つ群を「分化型」としてKRAS変異との関連性を検討した.統計学的解析にはχ2乗検定および,生存曲線ではKaplan-Meier法を用いてlog-rank 検定を行った.予後因子解析にはcox比例ハザードモデルを用いた.
【結果】各群のKRAS変異発現は,粘液型67%(26/39)・低分化型33%(18/55)・分化型28%(29/107)で粘液型群に有意に高かった(p<0.001).予後の検討では,粘液型ではKRAS変異群は野生群より有意に良好であった[OS(MST:2042日vs917日 p=0.016), RFS(507日vs243日 p=0.0004), PFS(230日vs96日 p=0.019)].分化型・低分化型ではKRAS変異群は野生群より不良傾向であった[OS(2034日vs1406日 p=0.011),RFS(437日vs250日p=0.197),PFS(434日vs315日 p=0.129)].また,粘液型における予後因子解析ではOS,RFSにおいてKRAS変異は独立した予後因子であった[OS(HR 0.276, 95%CI 0.077-0.935, p=0.039),RFS(HR 0.162, 95%CI 0.052-0.500, p=0.002)].粘液型KRAS野生群の1次・2次治療PFS(延べ治療例16例)を使用分子標的薬別で分類すると,抗EGFR抗体は抗VEGF抗体より効果不良であった(96日vs298日 p=0.0031).
【結語】KRAS変異と粘液成分との関連が示唆された.大腸癌においてKRAS変異の予後は組織成分により異なる可能性が示唆された.KRAS野生型であっても粘液成分を持つ症例においては抗EGFR抗体は効果不良となる可能性があり,分子標的薬の選択を考慮する必要があると考えられた.

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:病理

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