演題抄録

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開催回
第53回・2015年・京都
 

食道癌手術後の合併症は長期予後に影響を与えるか?

演題番号 : WS3-6

[筆頭演者]
馬場 祥史:1 
[共同演者]
原田 和人:1、小澄 敬祐:1、徳永 竜馬:1、志垣 博信:1、蔵重 淳二:1、岩槻 政晃:1、坂本 快郎:1、宮本 裕士:1、吉田 直矢:1、渡邊 雅之:2、馬場 秀夫:1

1:熊本大学医学部消化器外科、2:公益財団法人がん研究会有明病院

 

【背景】近年の外科手術手技、麻酔手技、術後管理などの進歩により、食道癌根治術の安全性は高まってきたが、現在でも術後合併症の発症率は他疾患と比較して高率である。しかし、食道癌術後の合併症が全生存率などの長期予後にどのような影響を与えるかは明らかになっていない。
【方法】2005年4月から2014年3月までに食道癌に対して外科的切除が施行された472例をretrospectiveに検証した。
【結果】472例中200例(42.4%)においてClavien-Dindo分類II以上の合併症を認め、肺合併症が94例と最も多かった。再手術は44例に行われ、ICU再入室は34例、在院死は1例であった。合併症群(n=200)では、非合併症群(n=272)と比して有意に女性が少なく(p=0.019)、手術時間が長く(P=0.0005)、出血量が多かった(P=0.0024)。また、一般的な検査項目や手術内容の項目から算出可能である手術リスク評価法E-PASSスコア(総合リスクスコア)が有意に高値であった(p=0.0062)。両群間で、年齢、cStage、術前治療の有無、肺機能(1秒量)、Brinkman index、アルコール指数に差はなかった。長期予後に関して、合併症群と非合併症群において全生存期間に差は認めなかった(P=0.38)。しかし、肺合併症群(n=94)は非肺合併症群(n=378)に比べて有意に全生存期間が短く(ハザード比 2.08;P=0.0002)、乳び胸群(n=11)は非乳び胸群(n=461)に比して予後不良であった(ハザード 2.86;P=0.0047)。縫合不全、吻合部狭窄、反回神経麻痺、心血管系合併症は全生存率に影響を及ぼさなかった(P>0.05)。多変量解析において、術後肺合併症の有無は独立した予後規定因子であった(多変量ハザード比 1.89 95%信頼区間 1.21-2.79;P=0.0056)。また、ICU再入室症例は全生存期間が短かったが (ハザード比 2.12;p=0.0089)、再手術の有無は予後に影響を及ぼさなかった (p=0.056)。無再発生存率においても同様の結果が認められた。
【考察】食道癌術後合併症の中で肺合併症は長期予後に影響を与え、ICU入室を必要とするような重度合併症症例は予後不良であった。食道癌術後の短期・長期的成績向上のためには、呼吸器系を中心とした合併症の予防とその対策が極めて重要である。

キーワード

臓器別:食道

手法別:集学的治療

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