演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

食道癌手術における亜全胃再建法

演題番号 : WS3-5

[筆頭演者]
高野 仁:1 
[共同演者]
田中 善宏:1、今井 寿:1、佐々木 義之:1、棚橋 利行:1、奥村 直樹:1、松橋 延壽:1、山口 和也:1、長田 真二:1、吉田 和弘:1

1:岐阜大学医学部腫瘍外科

 

【緒言】食道癌手術の場合、術後の縫合不全は5~10%の報告があり、いかに合併症を回避し術後のQOLを保つかが重要になる。当科では、治療体系が固定された2008年1月から2015年3月までに200例の食道癌手術を経験しており、胸部・頚部食道癌手術における再建を全例、亜全胃を利用した再建法で行っている。この再建法は、胃壁内の血管網の温存から吻合部での血流に優れるという利点がある一方、距離が届かないのではといった懸念や、胃管が胸腔内でたわみ食餌の停滞をきたすのではないかという懸念がある。そこで、当科で施行している術式のポイントを説明する。まず、小網の処理として左胃動脈の胃壁流入部から3枝をはらう。右胃大網動脈から約5cm離して大網を処理し左右の胃大網動脈の終点から左側は胃壁に沿い大網を切離する。距離をかせぐために膵前筋膜との生理的癒着を充分に剥離し胃背側の可動性を高める。場合によってKocherの授動を充分に行うが、通常施行しなくても充分に頚部まで届くことが多い。胃を切離する際は、長軸方向へ術者の両手で充分に伸ばした状態から腹部食道を牽引し、自動縫合器で切離する。頚部での吻合は、頚部斜切開創から直視下にサテンスキー鉗子(田中医科器械製作所サテンスキー血管鉗子04-31-M)をかけ、手縫いの層々吻合とし、吻合後に胃を腹腔側に充分に牽引し、その状態で横隔膜脚と胃壁を3針固定する。腸瘻は全例挿入し術後3~6ヵ月間使用を継続する。
【目的】今回、当科でのこの術式の安全性・機能性を評価した。【対象】200例の食道癌手術症例(鏡視下手術症例も含む)。【結果】縫合不全発症率は2例(1.00%)であった。1例は大腸癌術後でFolfoxを10コース施行後で、1例は術翌日ARDSとなりステロイドパルスを施行した症例であった。合併症・術後の愁訴としては、胃管壊死0例、瘻孔形成0例、吻合部狭窄5例、胃管潰瘍1例、ダンピング症状3例であった。術後のQuality of lifeの評価(EORTC QLQ-OES18 score)でも早期の腹満感・逆流感も平均1点台と低値で推移した。【結語】食道癌手術におけるこのような亜全胃再建方法は、ポイントを熟知し遂行すれば、非常に安全で高いQOLをもたらすことが可能である。

キーワード

臓器別:食道

手法別:疫学・予防

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