演題抄録

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開催回
第53回・2015年・京都
 

表層拡大型胸部食道癌のリンパ節転移と予後に関する検討

演題番号 : WS3-2

[筆頭演者]
本城 裕章:1 
[共同演者]
吉田 知典:1、熊倉 裕二:1、酒井 真:1、横堀 武彦:1、宗田 真:1、宮崎 達也:1、桑野 博行:1

1:群馬大学大学院医学系研究科病態総合外科学

 

【背景】近年、食道表在癌に対する内視鏡的治療が普及し、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は診断的治療も含めてその適応を拡大しつつある。一方、食道癌取扱い規約第10版によれば長径5cm以上の0-Ⅱ型病変と定義される表層拡大型病変ではリンパ節転移が多いことや、ESD後の狭窄が問題とされ、治療方針には議論の余地がある。今回、表層拡大型病変の臨床病理学的特徴を明らかにするとともに、治療戦略について検討した。
【対象・方法】2000年1月から2014年12月の期間に、当科において術前治療をおこなわずに内視鏡的治療または手術を施行し、病理学的に表在癌(pT1)と診断された胸部食道扁平上皮癌166例を対象とした。対象を表層拡大病変群(n=38)と非表層拡大病変群(n=128)の2群にわけて比較し、retrospectiveに臨床病理学的特徴を解析した。
【結果】表層拡大型病変では腫瘍長径(p<0.001)、リンパ節転移(p=0.02)、リンパ節転移個数(p=0.0475)、再発率(p=0.0064)が有意に多かった。疾患特異的生存率は表層拡大型82.8%、非表層拡大型94.1%であり、無再発生存率は表層拡大型74.9%、非表層拡大型90.0%であり、表層拡大型は有意に予後不良であった(どちらもp<0.01)。
手術症例による比較(表層拡大型36例、非表層拡大型68例)では、表層拡大病変は腫瘍長径(p<0.001)とリンパ節転移個数(p=0.0475)が有意に多かった。表層拡大病変では腫瘍の主座によらず3群リンパ節転移までの広がりを認めた。
表層拡大型、非表層拡大型の疾患特異的生存率はそれぞれ81.7%、87.7%であり(p=0.118)、無再発生存率はそれぞれ73.4%、81.2%であった(p=0.239)。
【考察】食道表在癌に対する内視鏡的治療は今後も適応が拡大していくと予想されるが、表層拡大病変ではリンパ節転移が多く、予後不良の傾向にあることが明らかとなった。表層拡大型病変に対しては潜在的なリンパ節転移の可能性を考慮したうえで内視鏡的治療か手術治療かの選別をおこなう必要があると考えられ、手術における郭清範囲は腫瘍の占居部位によらず標準的な郭清範囲が望まれると考えられた。

キーワード

臓器別:食道

手法別:局所療法

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