演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

乳癌術前化学療法における腫瘍浸潤リンパ球を用いたサブタイプ別治療効果予測

演題番号 : WS28-2

[筆頭演者]
柏木 伸一郎:1 
[共同演者]
浅野 有香:1、倉田 研人:1、徳本 真央:1、森崎 珠実:1、野田 諭:1、高島 勉:1、小野田 尚佳:1、大澤 政彦:2、平川 弘聖:1

1:大阪市立大学大学院医学研究科腫瘍外科学、2:大阪市立大学大学院医学研究科診断病理学

 

【目的】癌に対する宿主の免疫応答のモニタリングは,予後や治療効果を予測する上で重要な役割を担っている.近年,乳癌において腫瘍浸潤リンパ球 (TILs) の形態学的評価と臨床的関連性を示したエビデンスが多く報告されるようになり注目されている.しかしながらTILsの病理学的評価においては,その評価方法について一定の見解が得られていなかった.そのためにTILsと臨床的関連性を示したこれまでの報告では,評価方法が異なっていた.2014年に国際ワーキンググループによるTILsの評価に関するRecommendationも発表され,今後の乳癌個別化治療に大きく関わってくることが予想される.これらの背景のもと,われわれは術前化学療法 (NAC) におけるTILsの臨床的妥当性と有用性をサブタイプ別に層別化して検討した.さらに再発後のTILsの変化についても検証を行なった.
【対象と方法】2007年から2013年にFEC followed by weekly paclitaxel ± TrastuzumabのレジメでNACを行った177例を対象とした.腫瘍周囲間質に浸潤したリンパ球をTILsとして半定量的に評価し,intrinsic subtypeとの相関や予後および化学療法感受性について検討した.
【結果】NAC症例177例のうち96例 (54.2 %) が高TILs群であり,低TILs群と比較して有意にトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) (p<0.001) やHER2 enriched (HER2) (p<0.001) が多く,病理学的完全奏効 (pCR) 率が高かった (p=0.003).さらにTNBC 61例において,高TILs群は48例であり,低TILs群と比較して有意にpCR率が高く (p=0.013),無病生存期間 (p=0.001) や全生存期間 (p<0.001) の延長が認められ,多変量解析でも独立した予後良好因子であった (p=0.023, HR=0.24).またHER2 36例においても高TILs群25例は,低TILs群と比較して有意にpCR率 (p=0.014) が高く,無病生存期間 (p=0.007) の延長が認められ,さらに多変量解析で独立した予後良好因子であった (p=0.036, HR=0.13).NAC終了後に手術を施行し,その後に再発を来たした症例は30例 (16.9 %) であった.高TILsでありながら再発を来たした症例のうち,4例においてpCRが獲得されていた.高TILs症例で局所再発した8例の針生検標本において,TNBC 3例,HER2 2例でTILsの減少が認められた.
【結語】TNBCやHER2 enriched typeにおいて,TILsはNACの治療効果を予測するバイオマーカーになり得るかもしれない.さらにTILsの減少は再発に関与している可能性も示唆された.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:腫瘍免疫

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