演題抄録

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開催回
第53回・2015年・京都
 

卵巣癌患者における血小板増加症:臨床病理像・予後との関連

演題番号 : WS15-4

[筆頭演者]
中尾 砂理:1 
[共同演者]
松本 光司:1、小宮 春奈:1、中村 優子:1、櫻井 学:1、越智 寛幸:1、小貫 麻美子:1、水口 剛雄:1、佐藤 豊実:1、吉川 裕之:1

1:筑波大学附属病院産婦人科

 

【目的】マウス卵巣癌モデルでは抗血小板抗体投与による血小板減少によって腫瘍増殖抑制効果が見られる (N Engl J Med 2012;366:610-8)。卵巣癌患者において治療前の血小板増加症が臨床病理像や予後と関連するかどうかを明らかにすることを本研究の目的とした。
【方法】2001~2009年のあいだに当科にて初回治療を行った上皮性卵巣癌患者 (n=276) を対象とした。血小板増加症 (>35万/mm³、当院血小板正常値: 15万~35万/ mm³) が卵巣癌の臨床進行期・組織型・生命予後・血栓症リスクと関連するかを解析した。生存分析 (観察期間中央値 : 82.9カ月) にはLog-rank検定を用い、その他の統計解析にはχ2検定やt検定を用いた。
【成績】血小板増加症は全症例の38.4% (106/276) に高率に見られた。臨床進行期別にはI期 (n=84) 25.0%、II期 (n=37) 35.1%、III期 (n=108) 46.3%、IV期 (n=47) 46.8%に見られ、病変の進行とともに有意に増加した (P=0.01)。血小板増加症の頻度は組織型別には漿液性腺癌 (n=120) 40.8%、明細胞腺癌 (n=74) 37.8%、それ以外の組織型 (分類不能・低分化含む、n=82) 35.4%であり、組織型とは関連しなかった。II期以上の症例を対象とした生存分析では、血小板増加症は予後と有意に関連した (5年生存率; 血小板増加症 45.3% vs. 血小板数正常 67.5%, P=0.008)。術前にルーチンに深部静脈血栓症スクリーニングを開始した2004年以降の患者 (n=132) において、Dダイマー値は血小板増加症がみられた患者で有意に高く (平均値: 7.7±6.6 vs. 4.5±5.7, P=0.003)、深部静脈血栓症が発見されるリスクも血小板増加症がみられた患者で高い傾向が見られた (34.7% vs. 21.7%, P=0.11)。
【結論】血小板増加症は卵巣癌患者において有意な予後不良因子であり、予後を予測するバイオマーカーとなりうる。また、血栓症リスクとの関連もみられる。血小板増加症は腫瘍からのサイトカイン分泌による腫瘍随伴症候群の一種と考えられ、新規治療 (個別化治療) の開発のために今後さらなる検討が必要であると考えられた。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:バイオマーカー

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