演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

遺伝性乳癌卵巣癌症候群に対するリスク低減卵巣卵管切除術施行症例に関する検討

演題番号 : WS15-1

[筆頭演者]
野村 秀高:1 
[共同演者]
谷口 智子:1、宇佐美 知香:1、的田 眞紀:1、岡本 三四郎:1、金尾 祐之:1、近藤 英司:1、尾松 公平:1、加藤 一喜:1、新井 正美:2、竹島 信宏:1

1:公益財団法人がん研究会有明病院婦人科、2:公益財団法人がん研究会有明病院遺伝子診療部

 

【目的】当院でリスク低減卵巣卵管切除術(RRSO)を行った遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の患者背景を検討し、今後の課題を見出すことを目的とした。
【方法】2011年より、院内の倫理委員会の承認を得て、BRCA1/2変異保有者に対するRRSOの臨床研究を開始した。本抄録作成時点で19名に対してRRSOを施行しており、これらの症例の患者背景を中心として検討を行った。
【結果】19例のRRSO施行時の年齢の中央値は47歳(42歳から59歳)。経産婦が13例(68.4%)であった。BRCA1変異保有者が12例(63.1%)、BRCA2変異保有者が7例(36.9%)であった。付属器摘出術のみを行ったのは1例のみであり、18例(94.7%)が同時に子宮全摘術を施行していた。2013年4月までの7症例は全例開腹での摘出を行っていたが、2013年6月以降に行った12例中11例は腹腔鏡下での摘出を行った。術後に詳細な病理学的検査を施行しているが、これまでの19例においてオカルト癌は見つかっていない。RRSO施行時に乳癌を発症していたのは18例(94.7%)であった。また、RRSO後に乳癌を発症した症例を1例認めた。RRSO後にホルモン補充療法を行った症例は無かった。
【考察】
NCCNガイドラインでは35歳から40歳の出産終了時、もしくは家系の最も早い卵巣癌発症年齢に基づいてRRSO施行時期を考慮することを勧めている。また、40歳までにRRSOを行うことで卵巣癌・卵管癌の発症リスクを下げると同時に乳癌発症リスクも低下することが報告されている。しかし、当院でRRSOを施行した19例の大部分が乳癌発症後、閉経期を迎えての手術決断に至っていた。HBOCと診断された発端者がRRSOの対象となっていることがその主たる原因と考えられ、それ故に手術施行時期が若干遅い傾向がある。しかし、今後はその家族を含めたサーベイランスが必要であり、未発症者を対象としてRRSOを行う機会が増加すると予測される。RRSO後の短期のホルモン補充療法は、RRSOによる乳癌発症リスク低下を維持できるとの報告も有り、考慮し得るサポートの一つであると考えられるが、後方視的検討であり安全性と有効性に関しては不明な点も多い。術式(同時に子宮摘出を行うか否か)や手術の時期の決定については遺伝性腫瘍専門医、認定遺伝カウンセラー、乳腺外科医らと協力し、十分な情報提供の下に個別化されるべきであるが、われわれ産婦人科医にも最新の知見を取り入れた情報提供が要求されると考えられる。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:手術療法

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