演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

術前化学療法施行後の食道癌患者における好中球数・リンパ球数比と予後に関する検討

演題番号 : WS1-5

[筆頭演者]
気賀澤 悠:1 
[共同演者]
竹内 裕也:1、川久保 博文:1、福田 和正:1、中村 理恵子:1、高橋 常浩:1、和田 則仁:1、北川 雄光:1

1:慶應義塾大学医学部一般消化器外科

 

【背景】好中球・リンパ球数比(Neutrophil-Lymphocyte Ratio:NLR)は血液検査で好中球数をリンパ球数で割った値であり、様々な癌腫で予後と相関するとの報告がある.今回、当科において術前化学療法が施行された食道癌手術症例におけるNLRと予後に関する検討を行った.

【方法】2000年1月から2013年12月までに当科で食道癌に対し食道切除術が施行され、術前化学療法施行前および手術前にNLRが測定された128例を対象とした.咽喉食摘症例、化学放射線療法症例、血液疾患を有する症例等は本研究から除外した.化学療法開始前のNLRの平均値からNLR=2.5をcut off値とし、NLR高値群とNLR低値群に分け検討を行った.

【結果】男性111例、女性17例、手術時の平均年齢は62.5歳であり、治療開始前の臨床病期(UICC TNM Classification 7th)はStage IB:IIA/B/C:IIIA/B/C:IV=30:35:58:5であった.化学療法の奏功度はPR:SD:PD=80:41:7であった.化学療法開始前ではNLR高値群が62例、NLR低値群が66例に対し、化学療法後の手術前ではNLR高値群が32例、NLR低値群が96例であった.化学療法前後でNLR高値群と低値群において臨床病期および化学療法の奏功度に相関は認められず、リンパ球数の平均値も化学療法前後で有意差は認められなかったが、化学療法後の手術前NLR高値群ではNLR低値群と比較し有意に好中球数の平均値が高値であった(好中球数平均値:4628 vs 2754, p<0.001).化学療法開始前のNLR高値群と低値群に全生存期間(Overall Survival: OS)で有意差は認められなかったが、化学療法後の手術前NLR高値群は低値群と比較し有意にOSが不良であった(中央値17ヶ月vs 33ヶ月、p<0.001).単変量解析での予後不良因子に関して多変量解析を行ったところ、病理学的深達度(p=0.045)およびリンパ節転移陽性(p=0.001)、手術前NLR高値(p=0.023)が不良因子であった.

【考察】好中球および炎症性サイトカイン・ケモカインは腫瘍細胞の増殖や血管新生を促進し、腫瘍に対する免疫反応を担うリンパ球は腫瘍の増殖・転移を抑制するとの報告があり、NLR高値は悪性腫瘍の予後と相関すると考えられている.本研究より,食道癌術前化学療法施行例では、化学療法後のNLRが予後と相関する可能性が示唆された.

キーワード

臓器別:食道

手法別:バイオマーカー

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