演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

進行食道癌に対するNAC-DCFにおける効果予測バイオマーカー

演題番号 : WS1-4

[筆頭演者]
尾島 敏康:1 
[共同演者]
中森 幹人:1、中村 公紀:1、勝田 将裕:1、早田 啓治:1、松村 修一:1、加藤 智也:1、北谷 純也:1、田端 宏尭:1、竹内 昭博:1、山上 裕機:1

1:和歌山県立医科大学外科学第2講座

 

私達はより強い術前の抗腫瘍効果を期待し,2008年1月から2012年12月まで,Stage II/III進行食道癌に対するDoc/CDDP/5-FUの3剤併用の術前化学療法の第II相試験を行ってきた(UMIN000007408).具体的にはDoc 35mg/m2 を2回, シスプラチン12mg/m2 を5回投与, 5-FU 600mg/m2 を5日間連続投与する分割regimenを行った.45例が本試験にエントリーし,治療効果はCR 11 %,PR 32 %であり,RRは43 %であった.Down stage率は40%であった.食道癌手術におけるR0切除率は87 %であり,術後合併症(G2以上)は24%に認めたが,NAC-DCFによる合併症率増加は認めなかった.術後再発は56%に認め,術後3生率は46%であった.切除標本における化学療法効果判定はGrade 2以上は40 %であった.同時期に行ったNAC-CF (JCOG9907 regimen) 28例と比較すると,RR,病理組織学的効果はDCFが有意に高いが,生存延長には結びつかなかった.要約すると,術前DCF化学療法は40%の症例は有効であったが,60%は無効であった.DCF regimenはhigh toxicであり,実際,本試験においてGrade 3 以上の好中球減少は56 %に,発熱性好中球減少は20%に認めた.術前DCFの治療効果が予測できれば,進行食道癌の治療成績向上,副作用および周術期合併症軽減,ならびに個別化化学療法に結び付くと考えられる.そこで私達は付随研究としてDCF効果予測バイオマーカーの検索を行った.術前内視鏡生検SCC材料よりERCC1,TUBB3,BRCA1,TSの蛋白発現を確認し,発現の有無と治療効果との相関性を検討した.切除標本にて病理組織学的効果を発揮する患者因子,腫瘍因子はRogistic回帰分析にて,ERCC1 negative,BRCA1 positiveであった.また両因子を有する群は全症例で組織学的効果を認め,術後生存も有意に延長していた.さらにCox回帰分析にて術後無再発生存を規定する因子はBRCA1 positiveであった.ERCC1 negative,BRCA1 positiveはDCFの有望な効果予測バイオマーカーである.今後,両因子を指標とした進行食道癌に対するオーダーメイド治療確立に向け,前向き臨床試験を行う予定である.本セッションではこれまでの結果をふまえ,今後のStage II/III食道癌NAC個別化治療の新アルゴリズム体系の可能性につき言及したい.

キーワード

臓器別:食道

手法別:バイオマーカー

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