演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

食道扁平上皮癌細胞増殖におけるIL-8/CXCR2 networkの働き

演題番号 : WS1-3

[筆頭演者]
井上 正純:1 
[共同演者]
竹内 裕也:1、松田 祐子:1、西 知彦:1、福田 和正:1、中村 理恵子:1、高橋 常浩:1、和田 則仁:1、川久保 博文:1、北川 雄光:1

1:慶應義塾大学医学部一般・消化器外科

 

【背景】ケモカインとして知られるIL-8/CXCR2 networkは白血球遊走のシグナル伝達系として炎症性疾患の分野で研究される一方で,悪性腫瘍の分野でも癌細胞動態との関連が注目されている.我々はIL-8/CXCR2 networkと食道扁平上皮癌細胞動態との関連を基礎・臨床の両分野で研究してきた.

【目的】IL-8/CXCR2 network刺激および抑制による食道扁平上皮癌細胞増殖能への影響をin vitroおよびin vivoで検証し, 食道扁平上皮癌細胞増殖におけるIL-8/CXCR2 networkの役割を明らかにする.

【方法】食道扁平上皮癌細胞株TE4におけるIL-8/CXCR2発現を調べ,IL-8投与によるnetwork刺激およびCXCR2選択的阻害剤(SB225002)投与によるnetwork抑制の細胞増殖能への影響を検討した.また,TE4にIL-8を強発現させたtransfectant(TE4-IL8over)を作製し, 細胞増殖能の変化およびnetwork抑制の影響を検証した.細胞増殖能の評価にはWST assayを用いた.更にヌードマウスの皮下にTE4を移植し,IL-8またはSB225002を腹腔内投与した場合,TE4-IL8overを移植した場合の腫瘍増殖能への影響を検討した.

【結果】TE4におけるIL-8/CXCR2発現を調べた結果,共に強発現だった.TE4をIL-8添加培地で培養すると,共に有意に細胞増殖が促進され,SB225002添加培地で培養すると濃度依存的に細胞増殖が抑制された. TE4-IL8overはTE4と比較し有意に細胞増殖が高く, SB225002添加で濃度依存的に細胞増殖が抑制された.in vitroではTE4をヌードマウスの皮下に移植し,IL-8を連日腹腔内投与すると,有意に腫瘍増大が促進した. TE4-IL8overを移植した場合はTE4と比較し腫瘍増大が促進する傾向を認め, その増殖はSB225002の腹腔内投与で抑制された.

【考察】in vitro・in vivo共にIL-8/CXCR2 networkの外因的なnetwork刺激・抑制で細胞増殖能が有意に促進・抑制された.また,強発現株で内因的にIL-8発現を増強させても細胞増殖能が有意に促進し,外因的な抑制で有意に細胞増殖能が有意に抑制されたことから, IL-8/CXCR2 networkは食道扁平上皮癌の細胞増殖において重要なシグナル伝達を担っていると考えられた.

キーワード

臓器別:食道

手法別:基礎腫瘍学

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