演題抄録

支援研究成果発表会

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

マンモトーム生検導入による原発乳癌の術前化学療法後完全消失判定精度の向上

演題番号 : SR-4

[筆頭演者]
林 直輝:1 
[共同演者]
中村 清吾:2、角田 博子:3、岩瀬 拓士:4、秋山 太:5、津川 浩一郎:6、武井 寛幸:7、大出 幸子:8

1:聖路加国際病院乳腺外科、2:昭和大学医学部乳腺外科、3:聖路加国際病院放射線科、4:公益財団法人がん研究会有明病院乳腺外科、5:公益財団法人がん研究会有明病院病理部、6:聖マリアンナ医科大学病院乳腺内分泌外科、7:日本医科大学付属病院乳腺科、8:聖ルカ・ライフサイエンス研究所臨床疫学センター

 

原発乳癌に対する術前画像診断はMRIと超音波併用により病変の広がり診断を行い、術式決定を行う。しかし、標準治療の一つとなっている術前化学療法の治療効果、特に臨床的完全消失(clinical complete response: cCR)の画像評価の正確性は未だ明らかではない。画像診断でcCRと診断されても確実に病理学的完全消失 (pathologic complete response: pCR)を予測することができないため、外科的切除を行い残存腫瘍の有無を確認せざるを得ない。このため、術前診断で化学療法によりpCRを得られた事を外科的切除なしに正確に診断できれば手術が不要となる可能性がある。本研究の最終的な目標は、術前化学療法を受けてpCRを得られた原発乳癌患者により正確な術前診断を行い、外科的切除が不要となる患者を同定することである。
全体研究は以下の3ステップから構成される。ステップ1は後ろ向き観察研究として、術前化学療法でcCRを得られた患者の術前画像診断と術後病理診断を比較し、正診率と画像診断の診断基準を検討する。ステップ2では術前画像診断に加え、新たな病理学的介入である吸引式組織生検システム(マンモトーム生検)を用いたpCRの術前診断の精度向上を評価する多施設前向き研究を行う。その成果に基づいて行うステップ3では、術前診断(画像およびマンモトーム生検)で完全消失と診断した原発乳癌患者の手術施行群と非施行群の予後、局所再発率を検討する多施設ランダム化臨床試験を行う。
まずステップ1の結果、原発乳癌患者569例中、pCRは86例(15.1%)であった。MRI及び超音波併用のpCRの感度79.1%、特異度98.6%であった。この結果をもとに、本研究ではステップ2を行い、術前化学療法後に病理学的に完全消失となる原発乳癌の術前正診率を向上させることを目的とする。平成26年度より2.5年間を患者登録期間とする。本研究結果をもとにステップ3を行う科学的根拠となり、長年期待されている化学療法後に手術不要な原発乳癌症例の選別につながる臨床試験となる。手術の省略により患者の心理的負担及び身体的負担の大きな軽減が可能となるだけでなく、癌医療としての放射線療法、化学療法、手術療法のチーム医療の推進に加え、手術費や人件費などの医療経済効果や関連部署の負担軽減が期待できる。

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