演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

これからのがん臨床試験におけるデータ品質に関わる課題

演題番号 : S4-5

[筆頭演者]
田中 司朗:1 

1:京都大学大学院医学研究科薬剤疫学

 

モニタリング・データマネジメント・生物統計は、臨床試験データの品質管理のための基盤であり、その重要性は我が国でも広く認識されている。しかし、ゲノム個別化時代に入り、新しい問題が浮上している。その一つは欠測データへの対応である。がん領域ではエンドポイントとして主に全生存期間が評価されるため、欠測データはあまり議論されてこなかった。しかし近年になって、治療効果の予測マーカーが測られるようになると、その欠測への対応が統計解析上の課題になる。FDAは、生物統計家から成る外部パネルを招集し、欠測データに関する包括的なレポートを作成しており、その一部は2012年にNew England Journal of Medicineで報告された。彼らの議論は、欠測データの問題に対応するためのガイドラインになる。もう一つの問題は、データ共有である。マイクロアレイによる遺伝子発現の研究領域では、データ公開が一般的である。しかし、2015~2006年にNature Geneticsで公表された18論文のうち、公開データから解析結果が再現できたのはわずかに2件であった。また、個人データの統合解析(メタアナリシス)も盛んであるが、入手した臨床データから論文の解析結果を再現することは簡単ではない。本発表では、これからのがん臨床試験におけるデータ品質に関わる課題について、生物統計の観点から概観する。

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