演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第53回・2015年・京都
 

ゲノム解析による個別化医療確立と臨床試験

演題番号 : S4-4

[筆頭演者]
井元 清哉:1 

1:東京大学医科学研究所ヘルスインテリジェンスセンター

 

現在、医療ではない分野において、いわゆる消費者直販型(Direct-to-Consumer)遺伝子検査と呼ばれるキットをインターネット会社等が販売している。米国にて2006年に設立された23andMeが始めたビジネスが有名である。キットを購入したユーザーが自分で採取した唾液等をキット販売会社に郵送し、販売会社では、そこから得られた遺伝情報(多くはSNP)を調べることで「がん」など病気のリスクや体質の特徴などを解析し、その結果をユーザーに返すビジネスである。23andMeは、100万人近いユーザーを抱えている。そのうち、同意をされたユーザー(約8割と発表されている)の遺伝情報を他の企業との共同研究に活用し大きな注目を集めている。例えば、Pfizerとの提携では、炎症性腸疾患についてのゲノム研究を行っている。これらの事例は、多くはSNPのような決まった多型を調べるものであるが、いまや最新型のシークエンサーを利用することで、自分の全ゲノムシークエンスをたった1000ドルで得られる時代になった。このコストは、ナノポアシークエンスなど発展を続けるシークエンス技術により更に低下し、やがて血液検査と変わらない金額になると思われる。すなわち、今後5~10年のうちに我々は自分の全ゲノムシークエンス情報をもつことが普通の時代になることが考えられる。このようにシークエンス解析のコストが下がり、23andMeのようなゲノム情報、および既往歴、生活習慣、食習慣などが多数の提供者から得られ、それらを活用した個別化ゲノム医療が始まる下地は整いつつある。従って、臨床試験もその流れに沿った形で参加者のリクルート、デザイン等を行うようになることが想定される。本講演では、ゲノム解析の現状や課題、想定される未来からゲノム情報を活用した個別改良に向けての臨床試験についてその展望を述べたい。

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